港区登録文化財の泉岳寺「中門」の真横に、8階建て高さ23mのワンルーム中心のマンションを建設するというトンデモナイ計画があるかと思えば――
本日の朝日の朝刊記事にはもっと驚いた。
江戸時代からほぼ手つかずの「奇跡の森」が、住民の反対運動にも係らず既に伐採されてしまったというのだ。
大田区の高級住宅地にあった自然林が昨年末、マンション開発のため伐採された。江戸時代からほぼ手つかずの「奇跡の森」を残そうと、住民が立ち上がり、区も買収をめざしたが実らなかった。なぜ守れなかったのか。
伐採されたのは、大田区鵜の木1丁目の個人宅の敷地内の林。環状8号線に面し、田園調布に近接する好立地にかかわらず、約9千平方メートルのほとんどが樹木で覆われていた。
地域住民からは、地主にちなみ「天明(てんみょう)さんの森」と親しまれていた。(以下略)
(朝日新聞デジタル 1月18日)
グーグルマップで見ると、住宅に囲まれた鬱蒼とした緑のエリアが確認できる。
ただし、この画像は樹木の伐採前。
現在では悲惨な状態になっている。
この後には、12階建てのマンションが建つことになっている。
周辺住民の反対の声を伝えるサイトがいくつか立ち上がっているが、時すでに遅し。
失われた森は帰らないが、住民とデベロッパーとのやり取りの貴重な記録を伝えるべく、以下に掲げておこう。
- 「(仮称)ブランズシティ久が原計画」周辺住民のブログ
- (仮称)ブランズシティ久が原ってどうよ?
- 六郷用水跡の緑ある景観と安全を守る会 | Facebook
- 六郷用水跡の緑ある景観と安全を守る会 (@rokugou_mamoru) | Twitter
- tqwatcher (@tqwatcher) | Twitter
マンション建設反対運動が実を結ぶ事例は少ないのがとても悲しい(マンション建設反対運動、住民勝訴の判決は少ない)。
ちなみに、奇跡の森を伐採した大手不動産会社のホームページには、社長の挨拶として以下の記載が見られる。
選ばれる企業集団を目指して
私たちが取り組むCSR(企業の社会的責任)は、これまでの歴史の中で培われた進取のチャレンジ精神の継承と進化そのものです。
このDNAに基づく成長路線を着実に「継続」し、新たな事業・課題へ「挑戦」することによって、私たちは、将来にわたってお客様や地域社会、 投資家などステークホルダーの皆様から信頼され、選ばれる企業であり続けたいと念願しております。
CSR(企業の社会的責任)の文章のなかに、人の手が入っていない都心の貴重な森林を守ろうなどという姿勢は1ミリも感じられないのは筆者だけか――。
(本日、マンション広告なし)