不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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3.11東日本大震災 浦安市の液状化被害とその後

 

首都高の南側、ゴルフ練習場の跡地に建つ大規模マンション。

物件概要

【第1期本広告】東京駅直通12分(快速利用)、駅徒歩19分。総戸数222戸(P棟112戸+S棟110戸)、9階建+14階建。販売戸数50戸(P棟)、2LDK(63.20m2)3LDK(75.40m2)。販売価格4,188万円~5,988万円、最多価格帯4,600万円台(11戸)。P棟:平成28年2月下旬竣工(本チラシ掲載日の11カ月後)、S棟:平成28年7月下旬竣工(本チラシ掲載日の1年4カ月後)。

新聞半紙大のチラシのオモテ面には、「液状化対策マンション」の表記が見られる。

だが、どのような液状化対策が講じられているのか、チラシのオモテ面にも裏面にも記されていない。

 

この物件のホームページをひも解くと、「建物本体下とライフライン部の地中に砂を圧入することによって、地盤の締固めを行い、密度を増大させる静的締固め砂杭工法(SAVEコンポーザー工法)」が導入されていることが分かる。

ホームページには次の文言も表示されている。

これにより大地震時の際の地盤液状化の被害を軽減するよう配慮しています。

地盤液状化の「被害をなくす」ではなく、「被害を軽減するよう配慮」という表現がとても微妙。

「軽減する」と言い切っていないばかりか、「配慮」に留まっている。

 

実際に液状化被害が発生した場合には、「いちおう配慮したのですが(ダメだったですね)」という、売主責任を免れようという表現なのだ。

 

さて、このマンションが建つ、浦安市は3.11東日本大震災で、大規模な液状化被害が発生した地域。

今一度、浦安市の液状化被害とその後の対応状況を確認しておこう。


もくじ

浦安市の液状化被害の状況

Yahoo! JAPANの「東日本大震災 写真保存プロジェクト」サイトで浦安市の液状化被害の状況写真を閲覧することができる。

液状化で周辺地盤が沈下し、マンホールが地面から突き出した写真は衝撃的だった。



「浦安市復興計画(浦安市 平成24年3月)」によれば、「埋め立てにより造成された中町地域及び新町地域を中心に市域の 86%にも及ぶ範囲で地盤の液状化現象が発生し、多くの場所で土砂の噴出や地盤沈下が発生」したとされている。

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浦安市復興計画(浦安市 平成24年3月)P7より

地盤調査に基づく液状化判定結果(被害の可能性)

平成27年2月12日に開催された「平成27年 第1回市街地液状化対策検討委員会」の資料「地質調査および液状化の予測・判定結果について」に、地盤調査に基づく液状化判定結果(被害の可能性)が公開されている(P14)。

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図が小さいので補足すると、左から弁天二丁目、今川三丁目、美浜三丁目、今川二丁目、舞浜三丁目。
緑色のは「半壊エリア」、黄色の(←視認しづらくて恐縮です)は「大規模半壊エリア」。

今川三丁目だけが「大規模半壊エリア」、それ以外は「大規模半壊エリア」と「半壊エリア」が混在している。

 

いくらマンションだけが液状化対策ができていても、ガスや上下水道などのインフラが液状化被害で機能不全に陥るとマンションでの不便な生活を余儀なくされることを忘れてはならない。

 

実際のところ、浦安市の公共インフラはどの程度復旧工事が進んているのか?

浦安市の公共インフラの復旧工事の進捗状況

浦安市のホームページに、平成26年12月31日現在の公共インフラの復旧・復興進捗状況が公開されている。

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いちばん復旧が遅れているのが雨水排水施設(いわゆる下水道施設)で、進捗率63%。

逆にいえば、まだ4割近く復旧していない。

 

3.11の液状化災害を気にせずに、浦安市街のマンションを選ぼうとされる方のために、任意の場所の公共インフラの復旧状況を知る方法を紹介しておこう。

浦安市の任意の場所の最新の復旧工事の進捗状況を知る方法

浦安市のホームページに災害復旧・復興工事マップが公開されていて、任意の場所の復旧状況を知ることができる。

たとえば、本日のチラシの物件の住所を入力すると次図が表示される。

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このマップがスゴイのは、次のように航空写真表示や地形図表示ができることだけでなく――

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地図上をクリックすると工事名称や工事期間、工事の進捗状況がポップアップ表示されたり――

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左サイドに表示されている、下水道災害復旧工事などをクリックするとPDF形式の工事概要図を閲覧できることだ。

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(本日、マンション広告2枚)

 

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2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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