昨日の朝日の夕刊に「21世紀の資本」で有名になったフランスの経済学者トマ・ピケティの記事が掲載されていた。
経済格差、貧富の差、国の貧困を解決するために、金持ちからもっと税金をとれという。
都会と地方の経済格差を可視化したブログ記事「都会と地方の経済格差について可視化してみた」が好評だったので、本日は、総務省が7月29日に公表した「平成25年 住宅・土地統計調査 速報集計結果」データを用いて、首都圏における経済格差について可視化してみよう。
首都圏の区市町村別の「世帯の年間収入」を可視化してみた
「世帯の年間収入」は、次の9階層ごとに世帯数データが公表されている。
- 100万円未満、100〜200、200〜300、300〜400、400〜500、500〜700、700〜1000、1000〜1500、1500万円以上
そこで、各階層の中間値に世帯数を掛けて合計した値を総世帯数で割り、その金額を各区市町村の平均の「世帯の年間収入」とした。
たとえば千代田区であれば――
- [(50万円×610世帯)+(150万円×1,240世帯)+・・・・・・+(2,000万円×3,130世帯)]/100=793万円
なお、「1,500万円以上」以上の階層については、年収2,000万円として計算した。
計算結果を地図に落としてみると――
年収が高いのは、東京都心のほか、埼玉県内ではさいたま市、千葉県内では北西部、神奈川県内では横浜市・川崎市・鎌倉市といった南東部。
東京23区での「世帯年収」のランキングは次の通り。
- 1位:千代田区(793 万円)
- 2位:港区(779 万円)
- 3位:中央区(703 万円)
- 4位:目黒区(638 万円)
- 5位:渋谷区(632 万円)
- 6位:世田谷区(620 万円)
- 7位:文京区(614 万円)
- 8位:品川区(580 万円)
- 9位:新宿区(548 万円)
- 10位:江東区(545 万円)
- 11位:杉並区(531 万円)
- 12位:豊島区(530 万円)
- 13位:台東区(520 万円)
- 14位:練馬区(519 万円)
- 15位:大田区(516 万円)
- 16位:荒川区(498 万円)
- 17位:江戸川区(488 万円)
- 18位:葛飾区(479 万円)
- 19位:墨田区(476 万円)
- 20位:北区(475 万円)
- 21位:中野区(468 万円)
- 22位:板橋区(454 万円)
- 23位:足立区(432 万円)
上位5区と下位5区の階層別の「世帯年収」をグラフ化してみると、興味深い特徴が見えてくる。
上位5区は、年収5百万円以上の階層の割合が多い。
特に港区は「7百万円~1千万円」の階層が多いのが特徴。
一方、下位5区は、墨田区(下から5番目)以外は年収「2百万円~3百万円」の割合が多いのが特徴だ。
このように23区内においても、経済格差が見られる。
そこで、次に首都圏の区市町村別の経済格差を可視化すべく、「世帯年収」をもとにジニ係数を計算し、可視化(地図化)してみた。
首都圏の区市町村の「ジニ係数」を可視化してみた
ジニ係数とは、社会における所得分配の不平等さを測る指標。
ジニ係数の範囲は0から1で、値が0に近いほど格差が少ない状態、1に近いほど格差が大きい状態であることを意味する。
計算結果を地図化してみると――
都内西部、千葉県外房の一部、埼玉県秩父市などのジニ係数が高い(すなわち格差が大きい)。
社会が不安定化する危険水準といわれている、ジニ係数が0.4を超えているのは次の6区市。
- 勝浦市/千葉(0.47)
- 渋谷区(0.41)
- 文京区(0.41)
- 新宿区(0.41)
- 世田谷区(0.41)
- 八王子市(0.41)
幸いなことに、まだ不安定感の兆候は見られない(笑)