7月5日の朝日新聞の生活欄に『老人ホーム紹介業者、なぜ無料』という記事が掲載されていた。
民間の有料老人ホームに入居する際、紹介業者を利用する人が増えているようです。
情報の提供にとどまらず、見学の手配や契約立ち会いまでしてくれるそうですが、相談無料をうたう業者がほとんど。
いったい、どんな仕組みになっているのか、探ってみました。
「ホームは民間企業なので役所では公平性の点から特定のホームをお薦めできない(高齢福祉課の担当者)」ということもあり、「相談無料」の紹介業者を利用する人が増えているのだという。
高齢者住宅経営者協議会が2013年5月11日に発表した『入居者のための紹介事業の実態調査報告書』に記された「紹介事業の事態調査アンケート(45社回答)」により、「相談無料」の実態の一端をうかがい知ることができるという。
「相談無料」の実態は、ホームと提携した業者(87%)が紹介料をもらうことで成り立っているのだそうだ。
紹介料は1件あたり30万円〜40万円が最も多いが、10社は「100万円以上」と回答している。
紹介料をもらってホームを紹介するのだから、客観性が担保されているのか疑わしいが、実際に「偏っている」という苦情があった事例が朝日新聞の記事では紹介されている。
さて、有料老人ホームを紹介するパンフレット類を規制しているルールはあるのか?
ネットでググってみたところ、「有料老人ホームに関する不当な表示」(平成16年公正取引委員会告示第3号)と「『有料老人ホームに関する不当な表示』の運用基準」(平成16年事務総長通達第11号)があったので、以下にまとめておいた。
終の棲家を探すのも楽ではなさそうだ。
有料老人ホームに関する不当な表示
平成16年4月(9年前!)に施行された告示だ。その後、変更、改訂されて、最新版は平成18年11月となっている。
全部で11項、次のように7つの内容から構成されている。罰則規定はない。
- 土地又は建物についての表示
- 施設又は設備についての表示
- 居室の利用についての表示
- 医療機関との協力関係についての表示
- 介護サービスについての表示
- 介護職員等についての表示
- 管理費等についての表示
「運用基準」には不当表示の具体的な例が示されている。
いくつかポイントを絞って、以下に抽出しておこう。
詳しくは、「関連資料」を参考されたし。
「終身にわたって入居者が居住し、又は介護サービスの提供を受けられるかのような表示
入居者が当該有料老人ホームにおいて終身にわたって居住し、又は介護サービスの提供を受けられない場合、以下の表現は不当表示。- 「終身介護」
- 「最後までお世話します。」
- 「生涯介護」
- 「終身利用」
- 「入居一時金について追加の費用はいりません。」
有料老人ホームが当該介護サービスを提供するものではないにもかかわらず、そのことが明りょうに記載されていない
例えば、入居者が介護が必要となった場合、外部の事業者による訪問介護等の介護サービスを利用する必要がある旨の記載がないのは不当表示。管理費等の費用の内訳が明りょうに記載されていないもの
例えば、「管理費の使途は、事務・管理部門の人件費、自立者に対する生活支援サービス提供のための人件費及び共用施設の維持管理費です」等と明瞭になっていなければならない。また、入居者の選択に基づく個別のサービス提供に対して入居者から支払を受ける費用がある場合には、管理費等に含まれるものと一般消費者に誤認されるおそれのないよう、当該個別のサービスの内容等についても、明りょうに記載されている必要がある。
(本日、マンション広告なし)