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「中古住宅・リフォームトータルプラン」をひも解く


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国土交通省は3月27日、「中古住宅・リフォーム市場の倍増(20兆円)」に向け、新築中心の住宅政策からストック中心の政策への転換を図るための具体的な施策を盛り込んだ「中古住宅・リフォームトータルプラン」を公表。
公表された資料は、ワンペーパの概要書と21頁からなる報告書本文、88頁からなる参考資料(データ、制度概要等)と結構多い。


なぜ、新築中心の住宅政策からストック中心の政策への転換を図る必要があるのか?
そのことを端的に表しているのが次の図表。
住宅ストックと世帯数の推移(C)国交省

平成20年時点で、住宅ストック数(約5,760万戸)は、総世帯(約5,000万世帯)に対し約15%多く、量的には充足。

すでに新築住宅は供給過剰で、「世帯数は2015年以降、減少を続けていく見通し」であることも踏まえると、もはや新築中心の住宅政策によって内需を拡大することは限界であるということ。
そこで、ストック(中古)中心の政策へ舵が切られたのだ。


「中古住宅・リフォームトータルプラン」には、安心して中古住宅を取得でき、リフォームできる「市場の環境整備」だけでなく、や「中古住宅・リフォーム市場の担い手育成・強化」といった、事業者サイドの支援施策も数多くみられる。
3月23日の「前田大臣会見要旨」からも、そういった意図が明確に伝わってくる。

前田大臣会見要旨(3月23日)
(前略)
既存のストックというものに断熱改修、あるいは耐震改修、それを通じてまた健康住宅というようなことにして、寿命を長くして、その中古住宅が流通するということにしていけば、国民のストック、資産価値というものが随分と高まっていくわけです。
もちろん、そのためのインセンティブと言いますか、税制であったり、補助金というものを今まで新築に随分厚くやっていたことを切り替えていこうと、こういうことであります。
もちろん、金融関係も伴います。
これを通じて、全国各地にいろいろな住宅関係の仕事が出てまいります。
もちろん設計士、大工、工務店、水回りのいろいろなこと、左官、あるいは設備関係、材木、そういったことで地域の雇用、経済が継続的に回り、一見、派手には見えませんが、全国的に地域経済の活性化、ひいては日本の経済のベースが持続可能な経済になっていくと、こう思っております。



平成24年度の主な支援措置
参考資料の中に、平成24年度の主な支援措置(予算案)が掲載されていたので、拾ってみた。
中古住宅・リフォームトータルプラン(H24年度の主な予算案)

  • 民間住宅活用型住宅セーフティネット整備事業100億円
    • 一定の要件を満たす住宅について一定の改修工事が行われる場合、地方公共団体と連携し、国が民間事業者に対して住宅の改修費の一部を直接支援。[補助率:1/3、補助限度額:100万円/空家]


  • 既存住宅流通・リフォーム推進事業20億円
    • 既存住宅の売買や分譲共同住宅の大規模修繕工事に際して、住宅瑕疵担保責任保険法人による検査、瑕疵保険への加入、履歴情報の登録・蓄積等を行う事業について、その工事費用等の一部を助成。


  • 住宅消費者への相談体制の整備事業4億円
    • リフォーム工事や中古住宅の売買に関するトラブルに対する消費者の不安を解消するため、相談体制の強化を図るとともに、リフォームの無料見積チェック制度等の消費者支援施策の一層の周知・普及等を実施する。⇒【事業主体】民間事業者等、住宅紛争処理支援センタ


  • 既存住宅等に対応した住宅瑕疵担保責任保険の提供体制の整備事業1.5億円
    • シロアリ検査技術など、保険引受に係る現場検査等の技術的な対応が困難なものについて、円滑に保険引受可能となるよう検査技術の導入・実用化に対する支援を行う。
    • 住宅瑕疵担保責任保険の引受基準である設計施工基準の見直しに対する支援を行う。


  • 中古不動産流通市場整備・活性化事業1.2億円
    • 取引の中核を担う宅地建物取引業者の機能強化
    • インターネットでの既存住宅に関する情報提供の充実


  • 木造住宅施工能力向上・継承事業9.9億円
    • 木造住宅の施工に関する住宅生産事業者の能力の向上及び技術の継承に対する支援を行う。

以上の予算案の合計が136.6億円。
この他にも、次のような税制支援が見込まれている。

  • リフォームに係る現行の税制特例


  • 中古住宅取得に係る現行の税制特例
    • 住宅ローン減税
    • 住宅用家屋の所有権の保存登記等に係る軽減措置
    • 住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置
    • 不動産取得税の税率の特例
    • 既存住宅に係る不動産取得税の課税標準の特例



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