不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

首都圏を中心に、マンション選びのためのお役立ち情報を提供しています


統計データに見る東日本大震災前後のマンション市場の変化

東日本大震災から明日で1年。被災された皆様には謹んでお見舞い申し上げます。
各種の統計データから、東日本大震災前後のマンション市場の変化を確認してみた。

「住宅着工統計(国土交通省)」をひも解く

分譲マンション着工戸数、2年連続増加というけれど
国土交通省が2011年1月31日に公表した「住宅着工統計(平成23年計分)」によれば、平成23年のマンションについては、「116,755戸(前年比 28.9%増、2年連続の増加)」と記されている。
首都圏(1都3県)のマンションの着工数の経年データが表形式で掲載されていたので、グラフ化してみると――
新設マンション着工戸数(首都圏)
たしかに「2年連続の増加」であることに間違いはないが、東京は2003年をピークに大きく落ち込んでいる様子がよく分かる。
でも、この経年グラフからは3.11の影響が読み取れない。
そこで月変動のグラフを見てみた。


首都圏分譲マンション着工戸数、失速気味だが
国土交通省が2011年2月29日に公表した「住宅着工統計(平成24年1月分)」には、分譲マンションについて「前年同月比では2か月連続の減少(前年同月比2.6%減)」と記されている。
分譲マンション着工戸数の推移(三大都市圏別)のデータを可視化(グラフ化)すると次のようになる。
分譲マンション着工戸数の推移(三大都市圏別)
首都圏では、リーマンショックから回復傾向に向かいつつあったのだが、4月の6,770戸をピークに失速気味である様子が分かる。
ただ、3.11前後に大きな変化があったようには見えない。


では、不動産経済研究所が毎月発表している「首都圏新築マンション市場動向」から、3.11前後の変化は捉えられるのか?

「首都圏マンション市場動向調査(不動産経済研究所)」をひも解く

同研究所が毎月発表している数値データをもとに、首都圏新築マンション市場動向のトレンドを“見える化”したのが次のグラフ。
首都圏マンション発売戸数
23区の発売戸数を見ると、2月(1,853戸)から3月(1,284戸)・4月(1,242戸)にかけて若干の落ち込みがあるものの、5月(1,803戸)には増加している。
ただ、季節変動(時期による販売戸数の変動)があるので、このグラフをもって3.11の影響で販売戸数が一時的に落ち込んだとも言い切れない。
そこで、次に示すようなもっと違ったデータをもとに、3.11前後の変化を追ってみた。


「SUUMO新築マンション 首都圏版(リクルート)」の厚さに見る販促状況

3月下旬あたりから、薄っぺらいSUUMO(首都圏版)が続いていた。
どれくらい薄くなっているかといえば――
2011年に入ってから発行されたSUUMO(首都圏版)
写真は、2011年に入ってから発行されたSUUMO(首都圏版)。
左(1月4日号)から右(最新号:4月5日号)にかけて、古い順に並んでいる。
3月22日号から、極端に薄い号が続いていることが分かる。
ページ数の変化をグラフにしてみると――
suumo新築マンション(首都圏版)ページ数の変化
それまで500頁ほどだったのが、3月22日号からは約200頁と、6割減だ。


それが、ゴールデンウィークを前にした4月26日号になると再びズッシリと重くなった。
久しぶりの厚さにページをめくると、全728頁もある。
首都圏版SUUMOが厚くなってきた
前の週(4月19日号)の400頁と比べると1.8倍。
前の前の週(4月5日号)の216頁のなんと3.4倍もある。
ゴールデンウィークを前に、デベロッパー各社とも販促に力が入り出した様子が読み取れる。


では、3.11前後の中古マンション市場はどうだったのか?

首都圏中古マンション、震災の影響で千葉県での成約件数3割減(東日本不動産流通機構)

(財)東日本不動産流通機構(東日本レインズ)が4月11日に発表した「2011年3月の市場動向」によれば、「東日本大震災の影響で、成約件数は全般で大幅減少」とされている。
「中古マンション」については、次のように記されている。

【中古マンション】
首都圏中古マンションの成約件数は2,495件(前年同月比19.2%減)と2割近い大幅な減少で、昨年11月以来の前年割れ。
すべての都県が減少、千葉県は3割超の減少で、千葉市は半減している。
成約m2単価は首都圏平均で39.18万円(前年同月比1.3%上昇、前月比2.2%下落)、成約平均価格は2,549 万円(同0.4%上昇、同3.6%下落)で、ともに前月比では2カ月ぶりに下落している。
(以下、省略)

上記文章と共に表形式で数値データも開示されているので、過去に発表されたデータと合わせて、以下に見える化(グラフ化)してみた。
首都圏中古マンションの成約件数推移
「首都圏中古マンションの成約件数推移」を示す上記のグラフから、2月と比べると大きな落ち込みが見られるが、震災の影響なのか、季節的な影響なのかよく分からない。
そこで、前年同月比のグラフを作成してみると――
首都圏中古マンションの成約件数(前年同月比)
この3月に大きく落ち込んでいることがよく分かる。
特に、千葉県での落ち込みが著しい(前年同月比32%減)。

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2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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