【最終期 本広告】大手町駅直通17分、駅徒歩9分。総戸数34戸、10階建。販売戸数2戸、1LDK+S(61.61m2)。販売価格3,720万円・3,840万円。平成23年5月下旬竣工(本チラシ掲載日の2カ月後)。
- ※10年7月2日(金)・7月9日(金)・7月16日(金)、11年1月7日(金)の物件と同じ。
幹線道路沿いに建つ小規模マンション。
B4判のチラシ裏面の「物件概要」に目を凝らすと、見慣れない記述が。
現在記載しております、建物完成予定及び入居予定は現状の予定となります。
東日本大震災の影響により工期の遅れが生じる場合がございます。
建物完成予定及び入居予定が変更となる場合は改めて訂正させていただきます。
東日本大震災の影響により、建物完成予定遅延の可能性があるという。
このあたり、デベロッパーと工事を請け負っているゼネコンとの間で交わされる契約内容はどうなっているのか?
多くの請負契約書の下敷きとなっている、民間連合(旧四会連合)工事請負契約約款の「第21条 不可抗力による損害」は次のように記されている。
第21条 不可抗力による損害
- (1)天災その他自然的または人為的な事象であって、甲・乙いずれにもその責を帰することのできない事由(以下「不可抗力」という。)によって、工事の出来形部分、工事仮設物、工事現場に搬入した工事材料、建築設備の機器(有償支給材料を含む。)または施工用機器について損害が生じたときは、乙は、事実発生後すみやかにその状況を甲に通知する。
- (2)本条(1)の損害について、甲、乙および丙が協議して重大なものと認め、かつ、乙が善良な管理者としての注意をしたと認められるものは、甲がこれを負担する。
- (3)火災保険、建設工事保険その他損害をてん補するものがあるときは、それらの額を本条(2)の甲の負担額から控除する。
東日本大震災(天災その他自然的または人為的な事象)で、デベロッパー(甲)とゼネコン(乙)のいずれにも落ち度がなければ、損害は、ゼネコン(乙)ではなく、デベロッパー(甲)が負担することとなっているのだ。
工期遅延については、匠総合法律事務所のホームページに詳しく解説されているので、以下に一部抜粋。
Q9
現在、予定していた建材が納品されない、といった混乱が生じています。
この場合、建材が納品にならなければ工事を進捗させる事は出来ませんので、工期の延期をせざるを得ない状況ですが、工期延期の合意は、どのようにすれば良いのでしょうか?
A9
大地震は、天災地変というべき事態であり、この天災地変を直接の原因として工期遅延が生じたとしても「請負者の責めに帰すべき工期遅延」は存在しませんので、住宅会社において工期遅延に基づく責任を負わない事となります(損害賠償を注文者に対してする必要はありません)。
もっとも、今回の大震災による混乱は、いつ納まり、建材流通がどのように回復していくのか、全く未知数な状態と言わざるを得ません。
そこで、工事中の注文者との間では、工期延期の合意書 を交わすことをお勧めしたいと思います。
ようするに、今回のような大地震の場合には、ゼネコン(上記の場合は住宅会社)は、デベロッパー(上記の場合は注文者)に対して工期遅延の責任を免れることができるということ。
本日の物件では、デベロッパーが「東日本大震災の影響により工期の遅れが生じる場合がございます」と断っている。
よって、デベロッパーは工期遅延リスクを担するつもりはなさそうなので、マンション購入者が負担することなる。
もっと分かりやすく言えば、今回の地震の影響でマンションの完成が遅れても、デベロッパーには責任はなく、マンション購入者が泣き寝入りしなければならない場合があるということ。
泣き寝入りしなくてもいいように、契約前に、天災不可抗力条項について、シッカリと確認しておこう!