【予告広告】銀座一丁目駅直通8分、駅徒歩12分。総戸数456戸、31階建。販売戸数/未定、1LDK(38.75m2)〜3LDK(117.69m2)。販売価格/未定。平成24年9月下旬竣工(本チラシ掲載日の1年11カ月後)。
納品代行物流センター跡地に建つ、超高層マンション。
新聞全紙大のチラシのオモテ面に、横浜F・マリノスの中澤佑二の上半身のドアップ。
マンション・チラシを見てみようと思わせるに十分なアイ・キャッチ効果はあるのだが、有名なスポーツ選手がチラシに起用されていることと、立地環境の良し悪しや建物の品質とは全く関係がない。
チラシ裏面の「物件概要」の小さな文字に目を凝らしていて、おやっと思ったのは、次の記載。
建築確認番号:BCJ08本建確***(平成20年11月4日)
約2年後(平成24年9月下旬)に竣工する物件なのに、建築確認申請が下りたのが今から約2年前(平成20年11月4日)となっている。
一般的には、確認申請が下りると直ぐに着工するものなのだが、本物件では約2年間のブランクがあるのだ。
なぜか?
ネットで調べてみたところ――
実はこの物件は、仮称のプロジェクト名で約2年前(平成20年12月)に着工していたのだ。
その時の予定竣工時期は平成23年3月。
今回の予定竣工時期(平成24年9月下旬)より、1年半も早かったことになる。
当時の売主は、カタカナ名称のデベロッパーP社とゼネコン系不動産会社(準大手ゼネコンの子会社)との2社。
今回の売主は、準大手ゼネコン1社だ。
デベロッパーP社のIR情報をひも解くと、この物件の「事業主の地位を譲渡(平成21年年7月15日付けでリリースされた決算短信)」した後、平成22年5月14日に民事再生手続きを開始していることが分かる。
これらの情報を今一度整理すると、次のようになる。
- 筆頭売主であるP社の経営が悪化したことから、2年前に着工した仮称プロジェクトは
一旦凍結された。
- 筆頭売主から事業譲渡された準大手ゼネコン(当時から施工会社としては名を連ねていた)が、工事を再開するとともに、新しい売主として本物件の販売活動を再開した。
竣工時期が1年半延伸したことで、このマンションの分譲価格には、土地に係る余分な利子負担が上乗せされることになるのではないか。
埼玉県出身、横浜F・マリノス所属で、この物件と縁もゆかりもないサーカー選手に広告宣伝費を浪費している場合ではないと思う。