不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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新築分譲マンションの価格を推定する裏技(2010)

分譲価格と専有面積の関係


本日、マンション広告4枚。

【予告広告】秋葉原駅直通9分、駅徒歩6分。総戸数457戸(事業協力者住戸39戸含む)、14階建。販売戸数/未定、2LDK(57.94m2)〜4LDK(92.79m2)。販売価格/未定。平成24年2月上旬竣工(本チラシ掲載日の1年5カ月後)。

鋼板圧延工場の跡地に建つ、大規模マンション。


新聞半紙大のチラシのオモテ面には、緑地に複数のブリリアントカットのダイヤが浮かぶイメージフォト。
物件の上品なイメージを演出しているに過ぎず、物件選びのために必要な情報は皆無。
チラシ裏面はといえば、航空写真と路線アクセス図以外は、物件選びのための情報は少ない。


駅から物件までの案内図も、「概念イラスト」と注記されているように、リアリティがなさすぎ。
緑道の街路樹の1本1本が、タイエーの店舗よりも大きく描かれているのだ。

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さて、本日のチラシは、この物件で初めて出されたチラシ。価格は未定。
そこで、どれくらいの分譲価格になりそうか、以下に考察してみた。


この物件の敷地を放出した企業は、東証2部の鋼板圧延会社。
同社のプレスリリース(平成19年12月20日)によれば、12,250m2の所有地を譲渡予定価格51億円で、平成22年2月末に引き渡すこととなっている。
さらに平成22年1月29日にリリースされた第3四半期の決算短信によれば、次のように記されている。

(前略)
平成21年5月15日付「ステンレス事業の再構築による収益構造の抜本的改革についてお知らせ」のとおり、設備除却・解体撤去等に伴う一時費用(事業再構築費用)1,686百万円等の特別損失及び平成19年12月20日付「みがき帯鋼事業拠点の移転および固定資産の譲渡に関するお知らせ」のとおり、固定資産の譲渡が完了したことによる固定資産売却益4,401百万円の特別利益が加わり、法人税等調整額等の調整を行い、四半期純利益は178百万円(前年同期当期純損失1,257百万円)となりました。
(後略)

当初の譲渡予定価格51億円が、結局のところ44億円となったようだ。


土地取得費44億円、総戸数457戸だから、仮に平均専有面積70m2とすると、1戸当たりの平均分譲価格は以下のとおり、3,463万円ということになる。

  • 土地取得費:475,200万円(1,040万円/戸)←440,000万円+35,200万円(4%×2年の金利負担)
  • 建築費:775,515万円(1,697万円/戸)←80万円/坪
  • 事業経費:158,278万円(346万円/戸)←分譲価格の10%
  • 事業利潤:158,278万円(346万円/戸)←分譲価格の10%
  • 建設金利:15,510万円(34万円/戸)←建築費の4%÷12カ月×6カ月
  • 分譲価格:1,582,782万円( 3,463万円/戸)←上記計



3,463万円(専有面積70m2)が高いということであれば、ヤクザなデベロッパーがよくやるように、専有面積を小さくして、見た目の分譲価格を安くすることも可能だ。
具体的に平均専有面積を60m2〜90m2に変えたときの分譲価格の変化は右上グラフのとおりだ。
すなわち、平均専有面積が65m2であれば平均分譲価格は3,309万円と安くなるし、80m2であれば3,773万円と高くなる。


もし、第1期の広告で、専有面積と分譲価格の関係が、右上のグラフから大きく外れるようであれば、建築費(80万円/坪)や事業経費(10%)、事業利潤(10%)など、筆者の想定とは異なるということだ。
高い事業利潤を確保するあまり、建築費が削減されていないか確認することが大切だろう。

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