不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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“じらし広告”故意か過失か

幹線道路沿いに建つ小規模マンション。

【第1期 予告広告】大手町駅直通17分、駅徒歩9分。総戸数34戸、10階建。販売戸数/未定、1LDK+S(61.61m2)〜3LDK+S(103.57m2)。販売価格/未定。平成23年5月下旬竣工(本チラシ掲載日の11カ月後)。



新聞半紙大のチラシのオモテ面に、10円玉サイズのバカでかい文字が躍る。

  • 7/3(土)
  • 第1期分譲価格発表!

一方、裏面の「物件概要」に目を凝らすと次のような記述がある。

  • 販売予定時期/平成22年7月上旬
  • 販売戸数、販売価格、居住面積等は本広告におきましてお知らせいたします。



どこか矛盾していないか?
販売価格については、7月上旬に出される「本広告」で開示するといっておきながら、明日(7/3土曜日)、第1期の分譲価格を発表するという。
7/3土曜日にチラシが出された形跡がないから(このブログの記事を書いているのは7/3土曜日なのだ)、「第1期分譲価格発表!」というのは、モデルルームに来た人だけに教えるということを示唆している。


このように「予告広告」で価格発表会を開催する旨を表示することは、“じらし広告”として、禁じられている。
ちょっと長くなるが、不動産公正取引協議会連合会 公正競争規約研究会の編著による『不動産広告の実務と規制(10訂版)』のQA(頁235)から以下に抜粋しておこう。

■Q■
予告広告において、本広告前に販売センター等で価格発表会を開催する旨を表示した場合、何か問題があるのでしょうか。


■A■
結論からいいますと、お尋ねの広告はすることができません。
予告広告は、売り手側の事情で価格を決定しかねている場合でも、物件の内容等についてあらかじめ情報を提供し、一般消費者にゆっくり検討してもらうために、本広告で価格を明示することを前提として認められた広告手法です。

お尋ねの趣旨は、消費者にとって最も重要な情報の一つである価格を示さないまま消費者の期待感をあおって販売センター等への来場をうながすための“じらし広告”をしてもよいかということと同じです。

予告広告の趣旨は、売り手側の事情で価格決定が遅れた場合、発売直前にならないと広告が行われないことが多く、消費者は広告情報に接してから極めて短期間に購入するかどうかの判断をしなければならない状況に置かれることを回避し、消費者に物件選択の時間的余裕を与えるために、価格その他の取引条件以外の物件内容に関する情報を提供できる途を開いたものです。

したがって、お尋ねのようなじらし広告で集客することは、結果として本広告前に来場した顧客に申込み順位を確保するなど事実上の販売行為が行われるおそれがあり、予告広告の趣旨に反するだけでなく、本広告を行わない結果となる蓋然性が極めて高いと考えられます。
予告広告に名を借りたじらし広告は、必要な表示事項の規定の特例を定めた予告広告には該当せず、表示規約第8条(必要な表示事項)の規定に違反することになります。

“じらし広告”禁止という基本的な広告表示ルールも知らないデベロッパーに、マンションの基本的な品質が確保できるのかといった疑問が湧いてくるし――。
もし、“じらし広告”禁止ルールを知っていたのだとすると、本日のチラシは、「発表会」という表現も、またどこで発表するかも記されていないだけに、より悪質な“じらし広告”といえる。
どちらにしても、信頼のおけるデベロッパーというには・・・・・・。

(本日、マンション広告5枚)

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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