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失敗に学ぶ不動産の鉄則 (日経プレミアシリーズ) 893円(税込)。
バブル崩壊以前の1989年に関西圏から不動産価格の下落を予測したのが売りの幸田昌則氏の新刊。
次の6つの章から構成されている。
- 第1章 「いよいよマイホーム」の落とし穴
- 第2章 投資家を待ちかまえる罠
- 第3章 危ない不動産業者の考え方
- 第4章 懲りない金融機関
- 第5章 失敗に学ぶ不動産の鉄則
- 第6章 どうなる、どうする不動産!
情報羅列型の内容だが、ところどころ興味深い記述もみられる。
たとえば、第1章の中の「大幅値引きの『新価格』はお得か」。
(前略)
価格の下落に拍車ばかかったことで、マンションデベロッパーは新築住宅の完成在庫の処分を急ぎました。
例えば、8000万円の新築マンションを2000万円値引きし、「新価格」として6000万円に設定しました。
その結果、多くの人が、「2000万円も値引きをして売るのなら、お得だ」と意気込んで買いました。
そして数年後・・・・・・。事情があって中古マンションとして売却しようとすると、すぐには売れないうえに、最終的には購入価格の半値でしか売却できませんでした。
人間の心理として、「8000万円の物件を2000万円引きで」と言われれば、正直、一瞬、大きく心を揺さぶられるものでしょう。
しかし、よく考えてみれば、最初の8000万円という値付けそのものに妥当性がなかったのです。
(後略)
これは、現在の話ではない。
1990年のバブルが崩壊した直後の教訓話なのだ。
現在のアウトレット化した“投げ売りマンション”に飛びつく前に、本書に目を通されてはいかがだろうか。
ただ、本書は「買う人、売る人、借りる人・・・・・・必読の書」とあるが、どちらかといえば業界関係者向けの内容が多い。
著者は、現在、不動産会社の経営者向けの会員制コンサルティングを主とするネットワーク88を主宰されているという。
講演料45万円は、ちと高くないか。