販売戸数とは、あるときにはデベロッパーにとって企業秘密。
物件の販売済み戸数は、デベロッパーにとって企業秘密
家電製品やパソコンなど選ぶときには、売れ筋商品から選ぶのが基本。売れ筋商品(人気商品)であれば、当たり外れがないからだ。
マンション選びの場合にも、売れ筋商品(人気物件)が分かれば、安心して選ぶことができる。
ところが、物件の売れ行き(販売済み戸数)を知るのは、実勢価格を知ることと同様、非常に難しい。
物件の販売済み戸数は、デベロッパーにとって企業秘密といえるほど、外部からは、なかなかうかがい知ることができない。
販売済み戸数以前に、棟ごとの総戸数を知ることさえ難しかったという、あるモデルルームに電話問合せしたときの例を紹介しよう。
あるモデルルームに棟ごとの販売戸数電話で照会してみた
竣工済みの20階建てが3棟と15階建てが1棟の全619戸からなる大規模マンション。総戸数が619戸であることは分かるのだが、棟ごとの総戸数がチラシにもホームページにも開示されていない!
- 筆者「4つの棟の総戸数が619戸となっていますが、棟ごとの総戸数を教えてください」
- 女性販売員「少々お待ちください」
※待つこと30秒。
- 女性販売員「だいたいの数はお伝えすることは出来るんですけど・・・・・・」
- 筆者「それで結構です」
- 女性販売員「少々お待ちください」
※再び、待つこと30秒。
- 女性販売員「15階建ての棟が100戸、20階建ての棟が160棟です」
- 筆者「チョット待ってくださいね・・・・・・。全部足すと580棟(=100+160×3)ですけど、総戸数619戸と数が合いませんね」
- 女性販売員「だから、だいたいだと・・・・・・」
- 筆者「棟ごとに正確な戸数は分からないのでしょうか?」
- 女性販売員「正確な戸数は、上の者に確認しないとお伝えすることはできません」
※先ほど「少々お待ちください」と2度も待たされたのに、まだ上の者の確認が必要なのか?
- 筆者「上の者の確認を取らないと正確な戸数を教えてもらえないのですね?」
- 女性販売員「いま混雑しているものですから」
結局、棟ごとの正確な総戸数は教えてもらえなかった
たしかに業界の自主ルール「不動産の表示に関する公正競争規約」は、棟ごとの総戸数表示を義務付けてはいないのだが――。棟ごとの総戸数を聞かれて、だいたいの戸数とか言って39戸(=580戸÷619戸)もサバを読む販売員の対応っていったい・・・・・・。
「キャンセル住戸発生!」など、販売済み戸数を曖昧にする“販促ワザ”が蔓延している業界では、39戸のサバ読みなど、当たり前のことなのか。
かつて、入場者数の水増しが日常茶飯であったプロ野球では、2005年のシーズンから各球団とも有料入場者の実数、またはそれに近い数値を各試合ごとに発表するようになった。
また、怪しげな「公称部数」がまかり通ってきた出版界でも、実際の印刷部数を表に出すようになってきている。
水増しの販売済み戸数などではなく、実際の販売済み戸数の開示が義務付けられるのは、いつの日か・・・・・・。