不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

首都圏を中心に、不動産(マンション購入・賃貸)に係る分析記事を提供しているブログメディア

不動産テック各社の中古マンション推定価格を比較

国内の不動産テック(Real Estate Tech)サイトについては、すでに整理した。

本日は、不動産テック各社が独自のアルゴリズムを駆使して推定している中古マンションの価格を比べてみよう。


もくじ

比較対象物件の設定

比較の対象とした物件は、江東区東雲に建つタワーマンション「Wコンフォートタワーズ WEST」(45階建て、総戸数476戸、2005年2月竣工)。

具体的には、SUUMOに掲載されていた23階の2LDK東向き住戸(85.35m2、5,880万円)。

同物件を比較対象に選んだ理由は、総戸数が多く、築12年が経過していて、取引実績が多いと考えられるため。

比較対象結果

不動産テック9社が推定した価格をまとめたのが次のグラフ。

特定の物件で、階数、専有面積、向きが同じ住戸であっても、推定価格の違いが大きいことが分かる。

最も低いSmoola(スモーラ)60.0万円/m2に対して、最も高い「ふじたろう」71.4万円/m2。最低と最高で1.2倍近い幅がある。
専有面積85.35m2に戻すと、5,121~6,098万円の幅になるから、1千万円近い差となる。

不動産テック各社推定価格の比較
※HOME`S プライスマップの幅が大きいのは、住戸向きを指定できないことが要因の一つと考えられる。

※「マンションバリュー」「マンションマーケット」「住まいサーフィン」は、WコンフォートタワーズWESTとEASTの区別がないうえに、階数や専有面積、住戸向きの指定ができないので、参考扱いとした。

※IESHIL(イエシル)は、WコンフォートタワーズEASTはヒットしたが、WESTはヒットしなかったので除外した。 

不動産テック各社の推定方法

不動産各社の推定方法を以下に示す。

ふじたろう

ふじバリュー査定の相場価格について
ふじバリュー査定は、独自に開発した不動産取引価格査定システム(独自アルゴリズム)によって自動計算しています。算出された相場価格は、実際の取引価格と連動することを目標としますが、両者は正確に連動するものではなく、いくつかの要因により乖離が生じます。

Smoola(スモーラ)
現在の売出価格を過去数百万事例に基づき独自の計算ロジックで算出
マンションナビ
WEB相場価格の根拠って?
マンションナビのWEB相場価格は、過去の売出事例などに基づき不動産仲介市場において3カ月程度で販売ができるであろう価格を機械的に自動算出させています。そのため室内状況など個別要因は一切考慮されておりません。そのため実際の売買価格・相場と大きく乖離する場合がございますので予めご了承ください。
HOME`S プライスマップ
参考価格とは?
マサチューセッツ工科大学不動産研究センター研究員・清水千弘氏の研究成果を元に不動産参考価格算出システムを独自に開発。これまでのLIFULL HOME'Sの膨大な掲載データなどを多変量解析することで、不動産参考価格の自動算出を可能にしました。そのため住戸に関する個別の特徴などは考慮しておりません。
マンションレビュー
マンションレビューの適正購入価格診断は、過去の販売履歴等のビッグデータを基に、独自の人工知能技術を用い、取引事例比較法にて価格を算出しております。不動産は地域性、個別性が強く価格に反映される商品となります。こちらの推定相場は各部屋の個別要素は考慮しておりませんので、実際の売買相場と乖離する場合がございます。あくまでも参考価格としてご利用ください。
HowMa(ハウマ)
推定価格は近隣の取引事例や公示価格、物件の情報や位置情報からHowMa独自に算出した値です。
マンションマーケット
マンションマーケット独自の評価方法により算出したマンションごとの相場情報です。対象マンションの取引事例や近隣のマンションの取引事例を考慮して算出した想定価格となります。
マンションバリュー

現在価値とは、マンションバリュー独自のロジックによって算出された現時点における推計価格です。マンションバリューでは、同一マンション内における新築時価格の平均に、新築時価格と中古価格から割り出された騰落率を掛け合わせ、現在価値を算出しています。※特許出願中

住まいサーフィン

沖式中古マンション時価
売出価格を2度補正します。
(1)時点補正:相場は変動するので、売り出した時点を今に補正することをしています。3年前に3500万円だと分かっても仕方ないからです。
(2)成約補正:売出価格通りに成約することもありますが、価格交渉が入るのが通例で、平均すると約6%落ちて成約しています。

雑感

今回比較した9社のうち6社の推定価格は、特定の物件で、階数、専有面積、向きが同じ住戸を条件に比較した結果、最低と最高で約1.2倍の幅があることが確認できた。

各社の推定方法は、「独自アルゴリズム(ふじたろう)」とか「独自の計算ロジック(Smoola)」といったように、いずれも独自手法によるものとされていて、具体的な手法はブラックボックス。なかには、HOME`S プライスマップのように、「マサチューセッツ工科大学不動産研究センター研究員」の名前を出して、権威づけ効果を狙った表現も見られる。

推定方法の違いによって1千万円近い開きがあるうえ、具体的な手法がブラックボックスのままでは、ユーザーは的確に判断できないのでは。

中古マンションの価格は、株価と同じように市場原理によって決定される。株価が複雑系で短期的な予測が困難であるのと同様、中古マンションの市場価格も、本当は的確な予測などできないのではないのか。

不動産テック各社が「ビックデータ」や「人工知能技術」を用いて、価格を推定できるというのは幻想なのではないのか。


【修正メモ(6月24日)】

  • 「ふじたろう」のデータを「1年後の予想価格」から「現在の相場価格」に差し替え、図を修正するとともに一部の文章を見直した。

あわせて読みたい

[PR] SUUMO タワーマンションを探す!販売前の資料請求が成功の秘訣人気の新築マンション

2017年6月1日、このブログ開設から13周年を迎えました (^_^)/
Copyright(C)マンション・チラシの定点観測. All rights reserved.