滋賀県が民泊条例原案を公表。JR南草津駅に近い区域で民泊を規制するという。
大都市の違法民泊の数に比べれば、ほとんど問題のないレベルではあるが、地方都市における民泊問題の議論の一助になるよう、情報を整理しておいた。
滋賀県でも民泊条例原案(読売記事)
滋賀県が民泊条例原案を公表。
JR南草津駅に近い区域で民泊を規制するという。
南草津駅周辺 民泊規制へ
県は、マンションなどの空き室に観光客を有料で泊める「民泊」を規制する条例原案を公表した。対象はJR南草津駅に近い区域で、同駅との間にある住宅街に悪影響が生じる恐れがあると判断。来年1月15日まで県民から意見を募り、2月の県議会に条例案を提案する方針だ。(以下略)
(読売新聞 12月22日)
県がいつ条例原案を公表したのか、読売の記事には記されていない。
滋賀県のホームページで確認すると12月15日付で、「滋賀県住宅宿泊事業の実施の制限に関する条例(仮称)要綱(案)」のパブコメが公開されていることが分かる。
南草津駅周辺での平日民泊禁止
民泊を制限する区域は、草津市野路東三丁目~五丁目まで。
制限期間は平日(日曜日泊から木曜日泊まで。ただし、休日の前日泊、12月28日から1月2日までの泊は除く)。
同区域に規制をかける理由は、次のように「民泊利用者の移動と平日の通勤通学の混雑」を避けることらしい。
大都市圏に近接し、今後空室となり得るワンルームマンションが集中して立地。
当該区域から南草津駅までの間に住宅密集地があり、民泊利用者の移動と平日の通勤通学の混雑とが重なると当該住宅密集地の生活環境を悪化させる恐れあり。
民泊の制限区域(草津市野路東三丁目~五丁目)は、次図の水色のエリアである。
(滋賀県公表資料に「民泊の制限区域」の文字を追記)
この民泊の制限区域には現在、どの程度の民泊があるのか?
民泊の制限区域の民泊は、現在たったの1件!
大手民泊サイトAirbnbに登録されている物件は、たったの1件。あと制限区域外に1件あるだけ(次図)。
(AirLABOデータを元に作成)
なんだか、肩透かしを食らった気分である。
そもそも、滋賀県内にはどの程度民泊があるのか?
滋賀県内Airbnb登録物件150件、大津市内に集中
滋賀県内のAirbnb登録物件は152件(12月1日現在)。都道府県ランキング28位。そんなに多いわけではない(次表)。
「Airbnb国内登録件数5.5万件(前月比2.5%減)」より
筆者が毎月モニタリングしているAirbDatabankデータのうち、滋賀県内でAirbnbに登録されている物件数の推移は次図のとおり。
この1年間で20件(62%)しか増えていない。
(AirbDatabankデータを元に作成)
滋賀県内のAirbnb登録物件は、大津市内に集中している(次図)。
(AirLABOデータを元に作成)
滋賀県内の各自治体のAirbnb登録件数(12月23日)は次図の通り。
大津市(94件)が圧倒的に多い。
(AirLABOデータを元に作成)
なぜ滋賀県は民泊が集中している大津市に手を付けないのか。
今回民泊制限区域が設定された草津市と違って、すでに大津市の役所や議会がかなりの関心をもって違法民泊の検討を進めているからなのではないか(大津市役所・議会は「民泊」に関心が高い!?)。