那覇市が17年度に民泊実態調査(調査費用500万円)を実施し、その調査結果をもとに観光都市として民泊施設を推進するか判断するという。
那覇市 推進是非の判断に民泊調査へ(琉球新報)
那覇市が17年度に民泊実態調査(調査費用500万円)を実施し、その調査結果をもとに観光都市として民泊施設を推進するか判断するという。
那覇市 商業民泊調査へ 来年度、推進是非の判断に
マンションやアパートの空き部屋を宿泊施設として貸し出す商業型民泊について、那覇市は実態を把握するための調査費用500万円を2017年度予算案に計上した。13日から始まる2月議会定例会に提案する。
同様の調査は県内市町村で初めてとみられる。市は、調査結果を基に観光都市として民泊施設を推進するか判断するとしている。(以下略)(琉球新報 2月11日)
那覇市の民泊(Airbnb登録件数)の実態
まずは、沖縄県内のAirbnbの登録状況を確認してみよう。
沖縄県は、Airbnb登録件数の都道府県別ランキング第4位(次表)。
観光都市京都に次いで多い。
「Airbnb登録件数 沖縄・北海道・福岡シェア伸ばす」より
Airbnbの登録件数は、この1年間で2.6倍に増えている(次図)。
(AirbDatabankデータをもとに筆者作成)
沖縄県内のAirbnbの登録物件の多くは、那覇市に集中している(次図)。
那覇市は民泊施設をどの程度特定できるか?
琉球新報によれば、那覇市はAirbnbなどに登録されている物件を中心に情報を収集し、旅館営業法許可の有無などをヒアリングするらしい。
調査ではエアビーアンドビーなど民泊施設の仲介サイトを中心に施設情報を収集し、施設所在地、宿泊可能人数、1泊当たりの料金、旅館営業法許可の有無などを聞き取る。
民泊運営者や利用者にアンケートも実施する。(同上)
旅館営業法許可の有無などをヒアリングするにしても、ヒアリングすべき民泊施設を特定できるかどうか。
広島市が昨年同様の調査を実施したが、民泊施設を特定できたのはたったの14%だった(広島市が実施した民泊実態調査のイマイチ )。
広島市の二の舞にならないよう、京都市を参考にするとよい。京都市は昨年実施した実態調査では民泊施設を47%特定している(外国の民泊仲介サイトに無視された「京都市民泊実態調査」)。
雑感(民泊調査の前にやるべきことがあるのでは)
500万円の委託調査で出てきた報告書みて、「観光都市として民泊施設を推進するか判断」すればいいというような単純な話ではないのでは。
民泊調査の前にやるべきことがある。調査結果によらず、民泊に対する市としての基本スタンスを固める必要があろう。
観光都市那覇市として、将来に向かって、どれくらいの観光客を呼び込もうとしているのか?
そのとき宿泊施設のキャパシティは足りているのか、いないのか。足りていないとすれば、ホテル・旅館の室数を増やすのか、民泊で補うのか?
民泊で補うとすれば、ホームステイ型民泊(自宅の一部を開放し、旅行者とのコミュニケーションを図ることを重視した民泊)を推進するのか、投資型民泊(投資目的で購入あるいは借り上げたマンション・一軒家を旅行者に貸し出す民泊)を推進するのか?
調査結果のあとにやるべきことは、「推進是非の判断」ではなく、現状と将来を見据えた民泊対策ではないのか。
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