マンション傾斜・偽装問題はドンドン泥沼状態に入ってきた。
データ改ざんに関与した人物は50人規模になる可能性があるらしい。
旭化成建材の一担当者の問題から、会社の体質問題に拡がり始めている。
旭化成子会社の旭化成建材(東京)が過去約10年間に行ったくい打ち工事3040件のうち、約1割の300件前後にデータを改ざんする不正行為があった疑いのあることが2日、分かった。
関係者によると、横浜市都筑区の傾いたマンションの担当者を含め、データ改ざんに関与した人物は50人規模になる可能性があるという。
(時事通信 2015/11/2 13:00)
今後、旭化成グループだけの問題で収まるのか、請負業者の三井住友建設や三井不動産レジデンシャルといった三井不動産グループへの拡がりを見せるのか?
Googleでどれだけ検索されているかというトレンドをグラフで見ることができるツール、 Google Trends(グーグルトレンド)で調べてみよう。
マンション傾斜・偽装事件 1か月間の動向
Google Trendsの検索結果をもとに筆者が加工した。以下同じ。
傾斜マンションの杭データの偽装の最初の一報は10月14日付の日経の朝刊。同記事では、元請の三井住友建設が虚偽データに基づいて工事をしていたと報じられたことから、同社の検索数が多かった。
その後、旭化成建材の前田富弘社長が10月16日、記者の取材に対して、データを改ざんした担当者一人に責任を押し付けるような説明をしたこともあり、旭化成と旭化成建材の検索数が急増。
三井住友建設や三井不動産の検索数は、データ偽装発覚当初をピークに漸減。いまのところ三井不動産グループのブランドへの悪影響を免れている(?)。
免震偽装事件の場合はどうだったのか?
免震偽装事件の風評は1か月
国交省が最初に公表したのが3月13日。データを偽装していた東洋ゴム工業の検索数は増えたのは一瞬だった。1か月も経つと、まるで何もなかったような状況だ。
官民挙げての火消しに成功したといえよう(免震偽装事件 3つの疑問)。
10月14日、東洋ゴム工業は電車や船舶などに使われる防振ゴム製品でも性能データを改ざんしたことが公になったことで、再び炎上しそうだったが、傾斜マンションの陰に隠れてしまった状況にある。
では、10年前(2005年11月17日)に起きた耐震強度偽造事件(構造計算書偽造問題)の場合は、どうだったのか?
免震偽装事件の風評は1年
ヒューザー、イーホームズ、木村建設の弱小3社がマスコミから散々叩かれて、耐震偽装事件は1年間ほどくすぶり続けた。
まだマンション傾斜・偽装事件を総括する時期にはないが、検索数から見たこれら3つの事件を比較してみよう。
3つの事件の比較
3つの事件を同じ尺度で並べるとよく分かる。なんといっても「ヒューザー」の検索数がダントツで多い。ヒューザーの社長のキャラが立っていたこともその一因であろう。
10年前にはまだスマートフォンが今ほど普及していなかったことを考えると、耐震偽装事件が社会に与えた影響の大きさがこのグラフからも分かる。
それに比べて、免震データ偽装事件はほんのちょっと世の中を騒がせただけで終わっている。
マンション傾斜・偽装事件はこれから業界全体の問題として、さらに拡大していくのか?
マスコミもたいがいにしとかないと、行き着くところは耐震偽装事件の時のように、ツケを払わされるのは消費者、役人の利権拡大といったことになりかねない(たいがいにしときや「マンション傾斜・偽装問題」)。
「原因を究明するな」と言っているのではない。やりすぎると、ろくなことにならないという話。誤解なされないようお願いします。
(本日、マンション広告なし)