「不動産の表示に関する公正競争規約」とは、不動産業界が自主的に定め、公正取引委員会の認定を受けた不動産広告のルール。チラシに記載すべき情報や具体的な記載の方法などが規定されている。
同規約では、不当表示の禁止ルールひとつとっても、交通の利便性、生活関連施設、CG、価格など、75もの項目が掲げられている。
それだけ違反が多いことの裏返しなのであろう。
天空の城ラピュタもどきのマンション・チラシは優良誤認誘発
たとえば、公園の上部に、雲に乗っかったようにマンションが浮かんでいる天空の城ラピュタもどきのマンション・チラシ。
たとえ「実際の風景とは異なります」という注釈を入れてあったとしても、消費者に優良誤認誘発可能性ありのCG処理として、不当表示チラシとして指摘できる。
業者サイドからは、「自動車のCMでも有り得ない環境下での走行シーンを見せるなど、コンセプトを強調して表現する場面は、広告表現においては普通に存在している」との反論を頂戴したが――。
動産と不動産の違い
自動車にも不動産のように、業界が自主的に定めたルール「自動車公正競争規約」があるが、不当表示の禁止ルールは、たったの10項目。
すべて価格に関する内容で、CGなどについての規定は見あたらない。
だから、自動車であれば、あり得ない環境下での走行シーンのCMでも許されているのだろう。
そもそも自動車(=動産)の場合は移動可能なので、あり得ない環境下での走行シーンを描いていてもさほど問題にならないのではないだろうか。
でも、マンション(=不動産)の場合は移動不可能なので、立地している環境条件は、消費者にとって物件を選択する上で、重要な情報のひとつだ。CG処理した天空の城ラピュタもどきのマンション・チラシは、消費者の利益に資するとはいえない。