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「国土交通白書」における羽田新ルートに係る記載内容の変遷

毎年6・7月頃に公表される「国土交通白書」には羽田新ルートに係る内容も記載されている。
そこで羽田新ルートに係る記載内容の変遷を整理しておいた。

※時間のない方は、「要点」と「雑感」をお読みいただければと。


要点

「国土交通白書」における羽田新ルートに係る記載内容の変遷

のちに羽田新ルート運用開始へとつながっていく羽田空港の機能強化については、平成23年度版より以前には記述が見られない。

以下、平成22年版から古い順に、該当か所を引用していく。

※国土交通白書は、平成29年までは「年度版」、令和元年以降は「年版」と命名されている。平成30年度版(年版)は存在しない。

H22年度版:(なし)

今後は、25年度中に見込まれる国内線・国際線を含めた発着容量44.7万回への増枠及び昼間6万回+深夜早朝3万回の合計9万回への国際線枠の増枠を達成するため、エプロンの整備、国際線旅客ターミナルの拡充を着実に推進する。また、深夜早朝に就航する長距離国際線の機材の大型化に必要なC滑走路延伸等の機能向上事業を推進していく。これにより、旺盛な首都圏航空需要に対応するとともに、充実した国内線ネットワークを活かして、内・際ハブ機能を強化していく。

H23年度版:(なし)

首都圏空港・空域の容量拡大による航空交通サービスの充実を図るため、東京国際空港(羽田)においては、平成22年10月より4本の井桁配置の滑走路を使用し、他の滑走路に離発着する航空機の間隙を縫って航空機の離発着を行うといった、これまでと全く異なる運用方式を導入しており、今後は年間44.7万回の発着容量の実現に向け、新たな運用方式の慣熟を着実に進めていく。

H24年度版:首都圏空港の機能強化を図っている

我が国のビジネス・観光両面における国際競争力を強化するため、我が国の成長のけん引車となる首都圏空港の機能強化を図っている。

H25年度版:更なる機能強化に向けた具体的な方策検討を進めている

また、2020年の東京オリンピック・パラリンピック、さらにはその先を見据え、75万回化達成以降の首都圏空港の更なる機能強化に向けた具体的な方策の検討を進めている。具体的には、25年11月から交通政策審議会航空分科会基本政策部会の下に設置している首都圏空港機能強化技術検討小委員会において技術的な選択肢を取りまとめた後、関係自治体や航空会社なども参画した新たな場を設置し、機能強化方策の具体化について検討・協議を進める

H26年度版:更なる機能強化に向けた具体的な方策検討を進めている

また、75万回化達成以降においても、首都圏の国際競争力の強化、地方への世界の成長力の波及、訪日外国人旅行者2,000万人の政府目標の実現や2020年オリンピック・パラリンピック東京大会への万全な対応のため、首都圏空港の更なる機能強化に向けた取組みを進めている

具体的には、学者・専門家で構成される委員会において首都圏空港の機能強化方策に関する技術的な検討を行い、26年7月に羽田空港における滑走路運用・飛行経路の見直しや成田空港における管制機能の高度化等により、2020年までに最大で7.9万回の増枠が可能であること等を中間的に取りまとめた。続けて、機能強化方策の具体化に向け、同年8月に関係自治体や航空会社等の関係者が参画した協議会を設置し、関係者との協議を開始した。引き続き、精力的に関係者と協議を進めていく。

H27年度版:住民の幅広い理解を得るため、説明会の開催等を行った

また、75万回化達成以降においても、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の円滑な開催、さらにはその先を見据え、首都圏の国際競争力の強化、増加する訪日外国人旅行者の受け入れ、地方創生の観点から、首都圏空港の機能強化に向けて、32年までに羽田・成田両空港の空港処理能力を拡大することに取り組んでいる。

具体的には、羽田空港における飛行経路の見直し等による機能強化方策の具体化に向けて、同年8月に関係自治体や航空会社等の関係者が参画した協議会を設置し、協議を進めているところである。

特に、羽田空港については、住民の幅広い理解を得るため、説明会の開催等を行った。今後は、頂いたご意見等も踏まえて、28年夏までに環境影響等に配慮した方策を策定する予定である。

H28年度版:関係自治体から理解を得た

また、75万回化達成以降においても、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の円滑な開催、更にはその先を見据え、首都圏の国際競争力の強化、「明日の日本を支える観光ビジョン」において掲げた訪日外国人旅行者数を2020年に4,000万人、2030年に6,000万人等の目標の達成、地方創生等の観点から、両空港の機能強化は必要不可欠であり、羽田空港の飛行経路の見直し等により、32年までに羽田・成田両空港の年間合計発着枠を約8万回拡大することに取り組んでいる。

28年7月には、羽田空港の機能強化に必要となる施設整備に係る工事費、環境対策費を国が予算措置することについて、関係自治体から理解を得た。今後は、羽田空港の飛行経路の見直しに必要となる施設整備、環境対策等を着実に進めるとともに、定期的に説明会を開催するなど、引き続き丁寧な情報提供を行う

H29年度版:住民の方々に理解を頂けるよう努めていく

具体的には、羽田空港について、飛行経路の見直し等により、平成32年までに発着容量を約4万回拡大することに取り組んでいる。現在、必要な施設整備や騒音・落下物対策等を着実に進めるとともに、29年11月から30年2月にかけて、4巡目となる住民説明会を開催したところであり、引き続き、丁寧な情報提供を行い、住民の方々に理解を頂けるよう努めていくこととしている。また、拡大される発着容量は、訪日外国人旅行者数の目標達成を戦略的に進めるために重要な路線や国際競争力の強化に資する日本発の直行需要が高い路線への活用を主眼とし、路線の選定作業に着手することとしている。

R元年版:住民の方々に理解を頂けるよう努めていく

具体的には、羽田空港について、飛行経路の見直し等により、令和2年までに発着容量を約4万回拡大することに取り組んでいる。現在、必要な施設整備や騒音・落下物対策等を着実に進めるとともに、平成30年12月から31年2月にかけて、5巡日となる住民説明会を開催したところであり、引き続き、丁寧な情報提供を行い、住民の方々に理解を頂けるよう努めていくこととしている。また、拡大される発着容量について、路線の選定作業に着手した。

R2年版:丁寧な情報提供に努めていく

具体的には、羽田空港について、令和2年3月29日から新飛行経路の運用を開始し、国際線の発着容量を年間約4万回拡大した。新飛行経路の運用にあたっては、これまで騒音・落下物対策を実施するとともに6巡にわたる住民説明会を開催してきたところであり、引き続き丁寧な情報提供に努めていくこととしている。また、今般の増枠分については、羽田空港未就航の大都市を多数抱える米国や中国に加え、昼間時間帯の新規就航となるロシアや豪州など、合計9カ国・地域に配分した。

R3年版:騒音対策・安全対策や、地域への丁寧な情報提供を行う

具体的には、羽田空港において、令和2年3月29日から新飛行経路の運用を開始し、国際線の発着容量を年間約4万回拡大しているところであり、引き続き、騒音対策・安全対策や、地域への丁寧な情報提供を行う

R4年版:騒音対策・安全対策や、地域への丁寧な情報提供を行う

具体的には、羽田空港において、令和2年3月 29日から新飛行経路の運用を開始し、国際線の発着容量を年間約4万回拡大しているところであり、引き続き、騒音対策・安全対策や、地域への丁寧な情報提供を行う

R5年版:騒音対策・落下物対策や、地域への丁寧な情報提供に努める

具体的には、羽田空港において、令和2年3月から新飛行経路の運用を開始し、国際線の発着容量を年間約4万回拡大しているところであり、引き続き、騒音対策・落下物対策や、地域への丁寧な情報提供に努めるとともに、新飛行経路の固定化回避に向けた取組みを進める。

雑感(運用開始後、住民理解を得る努力が削除される)

平成28年度版(2016)で「関係自治体から理解を得た」と宣言したあと、平成29年度版(2017)~令和元年版(2019)は「丁寧な情報提供を行い、住民の方々に理解を頂けるよう努めていく」としていた。

ところが、羽田新ルートの運用が開始された(2019年3月)翌年度の令和2年版(2020)以降は、「住民の方々に理解を頂けるよう」という文言は消え、「丁寧な情報提供」のみが記されている。

国交省としては、羽田新ルート運用開始前に住民理解が得られたので、運用開始後に「住民理解を頂けるよう」と書いてしまうとつじつまが合わないということなのであろう。

あと、令和3年版・令和4年版では、「地域への丁寧な情報提供を行う」としていたのに、令和5年版では「地域への丁寧な情報提供に努める」と、努力義務に逃げを打っている点も指摘しておきたい。

あわせて読みたい

羽田新ルートに係る「首都圏白書」の記載内容は「国土交通白書」と整合的であるが、表現が荒っぽい。羽田新ルート運用開始(19年3月)後、3年続けて「丁寧な情報提供が行われている」と国が断定しているからだ。事実認定するのは国ではなく国民である。

2024年6月1日、このブログ開設から20周年を迎えました (^_^)/
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