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羽田新ルート|渋谷区議会「23年第2回定例会」質疑応答

渋谷区議会の「23年第2回定例会」本会議の代表質問(6月6~7日)で、羽田新ルートに関して2人の質疑応答があった。

議会中継(録画:佐々木議員田中議員)をもとに、全文テキスト化(約3千文字)しておいた。

※時間のない方は「質疑応答のポイント」と「雑感」をお読みいただければと。


質疑応答のポイント

佐々木由樹 議員(立憲)

佐々木由樹 議員(立憲)
佐々木由樹 議員(立憲、区議1期、東大・公共健康医学院卒、42歳)

佐々木:国土交通省による住民説明会の開催を要望すべき

続きまして、羽田新ルートについてです。
羽田飛行新ルートに関しては、今までの渋谷区議会の中でも、当会派や他会派からも何度も質問がありました。それらに対する区長のご答弁は、一貫して「国の責任において調査と丁寧な説明が必要」と、「これは区の問題ではなく国の問題である」とのご認識を示されています。

私も航空機の飛行ルートそのものの見直しについては、区の管轄ではなく国の管轄であると承知しております。


一方で、渋谷区議会では全会派一致で、令和4年に「(羽田空港新飛行ルート運用に対する)地域住民の不安を解消する策を講じることを求める意見書」、令和3年に「羽田新ルートの運用停止を国に求める意見書」を、衆参議長、内閣総理大臣、国土交通大臣宛に提出しています。


また、渋谷区105町会のうち半数以上の53町会長のお名前で令和2年7月28日、「都心低空飛行の中止を国に求める要望書」が長谷部区長及び当時の渋谷区議会議長宛に提出されました。


そこで、区長に3点伺います。
1点目。このような意見書や要望書が区民・住民の代表である区議会や町会長有志から出されているということは、多くの区民が国の説明に納得していないことの表れであるとご理解いただけますか。区長の見解をお聞きします。


国の説明、ここでは国土交通省ですが、区民の方が納得できない一例をお伝えします。

2022年3月13日に初台のテニスコートに氷の塊が落ちたことは、区長もご案内のとおりかと思います。失礼しました、本町に落ちたことはご案内のとおりかと思います

テニスコートにいた方は、上空を飛行機が飛んでおり、周囲に100m離れたオペラシティビル以外、高い建物がないため、飛行機から落ちた氷ではないかと、ある方を通じて国土交通省に調査を依頼しました。この地元の方や私たち一般人からすると、上空1万メートル、マイナス50度の極寒の世界を飛ぶ飛行機では、水滴が凍結し、何らかのきっかけで氷として地上に落ちてくるのではないかと素朴に思うわけです。

しかし、国土交通省の回答は着陸時の機体点検の時に氷塊の付着や水漏れ等の不具合や異常が発見されなかったということを根拠に、航空機由来の氷ではないと結論付けています。

住民としては、極寒の気温の中を飛行機が飛ぶのだから、氷が落ちる可能性があるのではないかと質問しているにもかかわらず、国交省は機体に不具合が発見されなかったとの回答で、議論がかみ合っていないわけです。このように、住民の不安に対してかみ合わない回答が出てくるので、住民の不安が解消されず、さっきの意見書や要望書につながっているのだとご理解いただきたいと思います。


2点目。令和4年第4回定例会で区長は、我が会派の堀切議員からの質問に、羽田に関しては区長会でも意見は申し述べていますとご答弁されています。区長会の議事録は公開されておらず、私たち議員は確認できません。

なお、私が令和2年以降の区政会館だよりのバックナンバーの目次を調べた限りでは、羽田飛行ルートについての記載はありませんでした。区長会で、羽田が話題になったのは――
(外野から「議題よ」)
ありがとうございます。区長会で羽田が議題になったのは何年何月でしょうか。また、この時区長はどのようなご発言をなさったのでしょうか

区民としては区長に期待しているものでありますので、区長のご答弁を求めます。


3点目。お隣の港区では令和4年3月、武井港区長が羽田空港機能強化に係る要請書および港区意見募集結果を国土交通大臣宛てに提出しました。また、同年7月14日には港区長と港区議会議長が住民説明会の開催を国土交通省に要望しています。


国交省は「港区の説明会の要望は承知している。説明会の開催方法は区役所と相談していきながら行っていきたい」との趣旨の回答をしています。


先ほど来申し上げているとおり、多くの区民は不安が解消しているとは言い難い状況です。港区と同様に、渋谷区でも国土交通省による住民説明会の開催を要望すべきと考えます。区長の見解を伺います。

区長:現時点では住民説明会の開催を要望する考えはありません

長谷部健 渋谷区長
長谷部健 渋谷区長(無所属、3期、元渋谷区議会議員3期、専修大学商卒、51歳)

次に、羽田新飛行ルートについてのお尋ねですが、一括してお答えします。

羽田新飛行ルートの運用に関する国の説明にご理解いただいていない一定程度の区民がおられることは理解しています。

国には引き続き、より多くの区民の皆様にご理解いただき、丁寧な説明をするよう求めていきますが、現時点では住民説明会の開催を要望する考えはありません


また、区長会での私の発言ですが、令和2年度以降、区長会の議題には上がっていませんが、議題以外の話の中で何度か意見交換をしており、「羽田新飛行ルートの件は国が決めたことであるので、しっかりと国が責任を持って説明すること」という趣旨の意見を述べたと記憶しています。

佐々木:区長会、議題になってない中で発言、正式に都や国への意見として上げられる?

次に、羽田に関してです。

先ほど、区長会で議題にはなっていないがご発言していただいた、というような趣旨のご答弁がございましたが、議題になってない中で発言することは正式に都や国への意見として上げられるものなのでしょうか。区長に再答弁を求めます。

区長:都のほうに意見としては上がりません

また、区長会の方で、羽田の件ですね。区長会の方で正式に発言していないものは当然、都のほうに意見としては上がりません

ただ、議題としては上がってませんが、他の区長さんといろいろこの羽田については話しています。ただ、現状23区他の区では、これに対しての温度がすごい低い区も実際ありますですので、なかなか区長会でも議題に上がりにくいという現状もあります。


今度改選が行われて、区長のメンバーも変わりました。ですので、また、特に一番当該である大田区が中心になりますけども、一応また話してみたいなというふうに思っております。

佐々木:区長には区民の代表としてもっと区民の声を聞く姿勢を

区長、教育長、再答弁、ありがとうございました。

一部、特に羽田や給食においては、やはり区長には区民の代表としてもっと区民の声を聞く姿勢を見せてほしいと思いました


私たち立憲・国民渋谷区議団は、区民の声を区政に反映すべく、これからも取り組んでいくことをお誓い申し上げ、私の質問を終わります。

田中正也 議員(共産)

田中正也 議員(共産)
田中正也議員(共産、区議3期、中央大学法学部卒、61歳)

田中:羽田空港新飛行ルートは直ちに中止を求めるべき

次に、羽田新飛行ルートによる騒音・落下物の危険は一層激しくなっており、住民からは「3年経って慣れるどころか、騒音はひどくなっている」「外での会話ができない」「戦前の空襲を思い出して怖い」などの声が寄せられています。

超党派の国会議員による「羽田空港見直しのための議員連盟」は5月24日、羽田新ルート問題の検討状況など、国交省へのヒアリングを実施しましたが、参加者は本町への落下物の調査を含め国土交通省の不誠実な対応に怒りの声を上げていました。政府に、住民に対して誠意をもって対応するとともに、羽田空港新飛行ルートは直ちに中止を求めるべきです

区長の所見を伺います。

区長:新飛行ルートの中止を求める考えはありません

長谷部健 渋谷区長
長谷部健 渋谷区長

次に、羽田空港新港ルートについてのお尋ねです。

これまで、貴会派のご質問に繰り返しお答えしてきたとおり、国に対しては騒音対策や安全対策などについて取り組み、区民の皆様にご理解をいただくよう丁寧に対応することを求めていますが、新飛行ルートの中止を求める考えはありません

雑感

羽田新ルートの本格運用が20年3月に始まって、20年6月の第2回定例会以降、羽田新ルート問題に係る文字数(≒質疑応答時間)に減少傾向が見られる

22年第2回(6月)に増加したのは、3月13日に渋谷区内で発生した氷塊落下の影響による一時的な現象だったようだ。

羽田新ルートに係る本会議定例会の 代表・一般質問の登壇者数・質疑応答文字数推移(渋谷区議会)


19年以降の各会派の登壇状況を可視化したのが次表。

羽田新ルートに係る 本会議定例会の代表・一般質問者(渋谷区議会)

※事前質問項目に「羽田」の文言が含まれていないと、羽田新ルート取り上げ議員として認識されていない場合がある。

  • 佐々木由樹 議員(立憲)
    4月の改選で自民と並ぶ最大会派になった立憲・国民渋谷議員団(7人)。その会派を代表して新人の佐々木由樹議員(立憲)が登壇。
    同じ会派の治田議員(立憲)や堀切議員(れいわ新選組)と違って、答弁に切れ味なし。初当選後に代表質問のチャンスを得たのに、顔を洗って(略)
  • 田中正也 議員(共産)
    今回の質問内容はあまりにも薄い(文字数にして281文字)だけでなく、3か月前の1回定例会代表質問とほとんど同じ。質問が同じだから区長の答弁も同じ。手抜きにもほどがある

    ・田中:政府に正面から運用停止を求めるべき
    ・区長:現時点で特に国に求める考えはありません

    23年第1回定例会の質疑応答より)

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