北海道は、民泊解禁を踏まえ農村部では推進し、都市部では指導監督を強化するという。
「中間報告」には「民泊仲介サイトの運営事業者との協力体制構築に向け、協議などを行っていく」と記されているが、協議すべき相手はAirbnbだけではない。中国系の民泊仲介サイトを運営している事業者も協議すべき相手として認識されているのだろうか。
北海道、民泊解禁で農村は推進、都市では監視(日経記事)
北海道は、民泊解禁を踏まえ農村部では推進し、都市部では指導監督を強化するという。
民泊解禁で農村は推進、都市では監視 北海道に地域差
北海道は一般住宅に旅行者を有料で宿泊させる民泊解禁を踏まえて、道内の農山漁村など地方を軸に誘客する。年内にまとめる民泊のあり方に関する最終報告に盛り込む。人口減が進む地方で、市町村に空き家の活用も促しながら、地域の文化や暮らしを体験してもらい交流人口の拡大をめざす。一方で札幌市など都市部は近隣住民から苦情が多いことから指導監督を強化する。(以下略)
(日本経済新聞 6月18日)
「中間報告」をひも解く
年内にまとめるとされている「地域における新たな民泊のあり方」検討会の内容をひも解いてみよう。
民泊のあり方:道民との交流を深める契機、既存の宿泊サービスと調和
庁内横断的な同検討会は16年4月20日に設置され、16年度は7回開催された。第5回の会議(11月16日開催)で「中間報告」が公表されている。
中間報告は、全5章(18頁)。
- はじめに
- 民泊をめぐる現状
- 民泊をめぐる課題
- 国の検討経過等
- 地域における新たな民泊のあり方
「5 地域における新たな民泊のあり方」のなかで、「基本的な考え方」として、道民との交流を深める契機となるものであることや、道民の生活環境や既存の宿泊サービスと調和することなどが掲げられている。
(1)基本的な考え方
- 旅行者が安心、安全に宿泊できる環境を備えつつ、本道の暮らしや文化を伝え、道民との交流を深める契機となるものであること。
- 道民の生活環境や既存の宿泊サービスと調和し、本道の魅力を活かしたまちの活性化や交流人口の増加など地域に潤いをもたらす一助となるものであること。
「5 地域における新たな民泊のあり方 」P13より
この「基本的な考え方」を踏まえ、民泊を「ふれあい民泊」と「まちなか民泊」の2つのタイプに分類されている(次図)。
(中間報告P14より)
当面の取組:民泊仲介サイトの運営事業者との協議ほか
「当面の取組」として、タイプ別方針に基づき、次の3点を進めていくとされている。
- (1) 仲介事業者との協力体制の構築
民泊のゲストはもちろん、ホストにとっても信頼性の高いプラットフォームとしての民泊仲介サイトが欠かせないものであることから、民泊仲介サイトの運営事業者との協力体制構築に向け、協議などを行っていく。- (2) 関係する団体等の意見把握
地域における新たな民泊の推進にあたっては、道民の生活環境、既存の宿泊サービスとの調和が重要であることから、ホテル・旅館などの宿泊施設の事業者による団体、旅行業の事業者による団体、マンション管理の団体などからご意見を伺い、今後の取組の推進に反映させていく。- (3) モデルとなる取組を促進
ホストとの交流や、文化・暮らしの体験など、地域との交流やふれあいを楽しむ民泊を地域において進めていくため、「ふれあい民泊」の展開例などを活用し、市町村におけるモデルとなる取組を促進していく。(中間報告P18)
協議すべき相手として、中国系の民泊仲介サイトを認識しているか?
北海道内のAirbnb登録件数は、全国ランキング5位。いまや全国の4%を占めている(次図)。
しかも、その件数はドンドン増えている(次図)。
「焼け石に水!? 札幌市の是正指導で違法民泊13件中止」より
違法民泊はAirbnbだけでなく、「途家」「自在客」「住百家」といった中国系の民泊仲介サイトにも登録されている(次図)。
民泊新法(住宅宿泊事業法案)が3月10日に閣議決定されたのを受けて、Airbnbやhomeaway、Booking.comといった民泊仲介サイトを運営している一部の欧米系企業は、関係当局に協力していくことを表明している。
でも、中国系の民泊仲介サイトを運営している各社は、いまのところ関係当局への協力については特に表明していない(欧米系企業は民泊新法に順法表明、中国系企業は?)。
中間報告には「民泊仲介サイトの運営事業者との協力体制構築に向け、協議などを行っていく」と記されているが、協議すべき相手はAirbnbだけではない。中国系の民泊仲介サイトを運営している事業者も協議すべき相手として認識されているのだろうか。