日本のたばこ対策が正念場を迎えているという昨日(1月28日)の朝日の記事。
国は「世界最低レベル」とされる受動喫煙対策の強化を打ち出したが、飲食業界などからは反発が相次ぎ、骨抜きになる余地が残る。
(朝日新聞be 4面 1月28日)
「全面禁煙」という世界の常識に対して、厚労省案は「学校や病院は敷地内禁煙、ほかは建物内禁煙とし、サービス業などは喫煙室も認める」としている。
受動喫煙対策よりも、いまだにニコチン中毒者が優遇されているのは、国内の葉タバコ農家対策のためなのか、あるいは税収確保のためなのか――。
- 日本の喫煙率は先進国で16番目に低い
- フィンランドではベランダ喫煙が禁止
- 23区の禁煙賃貸マンションの割合は0.5%
- ベランダを含む「完全禁煙賃貸マンション」は少ない!
- なぜ「完全禁煙賃貸マンション」は少ないのか?
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日本の喫煙率は先進国で16番目に低い
先進国の喫煙率はどの程度なのか?
OECDのサイトに30か国の「Daily smokers」データが公開されている。最新の2014年のデータでは、日本は19.6%で16位(次図)。
喫煙者に厳しい米国は12.9%で3位。
「喫煙人口2%未満」の目標を掲げているフィンランドは15.4%で8位。
フィンランドではベランダ喫煙が禁止
フィンランドでは今年から新たな対策が導入され、たばこ製品の販売や喫煙に対する規制が大幅に強化された。
自宅のベランダでの喫煙についても、煙が流れ出て近隣の迷惑になると判断すれば、住宅会社が禁止を申し立てることが可能になったという。
フィンランド、「たばこ一掃」に本腰 喫煙人口2%未満目標
フィンランド政府がたばこのない国家の実現に向けて、2040年までに成人の喫煙人口を2%未満に減らすという大胆な目標を打ち出した。普通のたばこのほか、かぎたばこ、無煙たばこ、葉巻、パイプ、電子たばこも含めてあらゆる形態のたばこの一掃を目指す。
(中略)
自宅のベランダでの喫煙についても、煙が流れ出て近隣の迷惑になると判断すれば、住宅会社が禁止を申し立てることが可能になった。(以下略)(CNN.co.jp 1月27日)
ベランダ禁煙マンションはともかく、日本では禁煙の賃貸マンションはどのくらいあるのか?
23区の禁煙賃貸マンションの割合は0.5%
不動産情報サイトHOMES(ホームズ)で調べると、東京23区で登録されている賃貸マンション78,947件のうち、「禁煙」のキーワードでヒットする件数は363件。率にするとたったの0.5%しかない(1月28日現在)。
区ごとの内訳は次図の通りだ。
禁煙マンションの割合が最も高いのは港区(1.2%)。港区民は禁煙意識の高い人が多いのか?
最低は中野区・葛飾区(0.2%)。両区民は禁煙意識の低い人が多いのか?
ベランダを含む「完全禁煙賃貸マンション」は少ない!
ただ、23区で363件の「禁煙」賃貸マンションがヒットしたといっても、すべての物件がベランダ(バルコニー)を含めた完全禁煙賃貸マンションであるとは限らない。その多くは室内での喫煙が禁止されたマンションなのだ。
そこで「バルコニー禁煙」で検索してみる。ヒットするのは20件。
この20件を1件づつ確認したところ、ベランダを含んで禁煙である旨が明記されていたのは7件(世田谷区5件、台東区1件、江戸川1件)だった。
「禁煙」363件のなかには、その旨が明記されていないベランダ禁煙マンションがあるのかもしれないが、いずれにしてもあまり多くはなさそうだ。
嫌煙者が不動産情報サイトだけを使って、自分の希望するエリアで、ベランダを含む完全禁煙賃貸マンションを探し出すのは難しそうだ。
ひょっとすると、地元の不動産屋さんに直接聞いたほうが完全禁煙賃貸マンションを見つけやすいのかも。
なぜ「完全禁煙賃貸マンション」は少ないのか?
管理規約を改定してベランダを禁煙にしたマンションもあると聞くが、なぜ、ベランダを含む完全禁煙賃貸マンションは、こんなに少ないのか?
貸主にとって、部屋をキレイに使ってもらうために、室内の禁煙を謳うメリットはあっても、ベランダを含む完全禁煙賃貸マンションを謳うメリットは少ないのかもしれない。「完全禁煙賃貸」を謳うことは、喫煙者を取り込めなくなるからだ。
隣戸の住人が蛍族からの副流煙で苦しむことがあっても、貸主の利益を損ねることはない。