不動産経済研究所が1月19日、「首都圏マンション市場動向2016年(年間のまとめ)」を発表。
- 年間供給は11.6%減の3万5,772戸、契約率は68.8%で2009年以来の70%割れ。
- 平均価格は0.5%ダウンの5,490万円と4年ぶりの下落、m2単価は1.8%上昇の79.3万円。
数字の羅列だと分かりにくいので、過去に発表されたデータと合わせて、見える化(グラフ化)してみた。
分譲単価は13年以降上昇し続けている
23区の分譲価格は、07年のピーク(6,120万円)から漸減したあと、13年以降上昇し続けていたが、16年は若干下降。
首都圏の分譲価格も、同様である。
m2あたりの分譲単価で見ると、23区、首都圏とも、13年以降上昇し続けていることが分かる(次図)。
上図を見比べると、16年は分譲<価格>は若干低下したが、分譲<単価>は低下していない。
なぜなのか?
上図に示した「分譲価格」と「分譲単価」から、「専有面積(=分譲価格÷分譲単価)」を逆算し、可視化(グラフ化)すると、そのワケが見えてくる。
2016年はより狭くなった
23区のデータをもとに、横軸に「専有面積」、縦軸に「分譲価格」で描いたのが次のグラフ。
07年から09年にかけて、「専有面積」が小さくなる(狭くなる)ことで、「分譲価格」が下がっていく様子がよく分る。
10年以降は「専有面積」を抑え過ぎた反動か、面積、価格とも上昇。
15年・16年は「分譲価格」はあまり下がらずに「専有面積」が再び小さくなっている。
ザックリいえば、この10年間で23区のマンションは狭くなったのに、分譲価格は1,500万円近く上昇しているのである。
首都圏においても、23区と同じような傾向である(次図)。
2016年は17%が売れ残った
16年に首都圏で新規に供給されたマンション35,772戸に対して、残戸数は5,899戸。16.5%が売れ残った。
13~15年からの売れ残り戸数は1,261戸(3.5%)。
内訳は次図のとおり。
16年供給に対するの売れ残りの割合は、都区部が15.6%と最も低いのに対して、都下が20.1%と最も高い。
低価格帯の供給戸数が大きく減少
13年以降の、価格帯別販売戸数を可視化してみた(次図)。
16年の特徴は、過去3年と比べて、低価格帯の2つの山(3000万円・4,000万円)の供給戸数が大きく減少していることだ。
8,000万円と億ションの供給戸数はあまり減少していない。
ザックリいえば、5,000万円以下の供給戸数が大きく減少しているのである。
庶民が新築マンションを買うには、2016年は厳しい年であったことが分かる。