不動産経済研究所が毎月中旬に発表している「首都圏新築マンション市場動向」のデータは平均値。
たとえば10月17日に発表された9月度の首都圏の新築マンションの発売価格は5,578万円だが、この価格は極端に高い物件や安い物件が含まれた平均の価格となっている。
極端に高い物件や安い物件の影響を排除するには、平均値ではなく、中央値でみるといい。中央値とは、データを小さい順に並べたとき中央に位置する値のこと。
不動産経済研究所は11月10日、「首都圏マンション・近畿圏マンション 戸当たり価格の平均値と中央値の推移」を発表した。不動産経済研究所が中央値を発表したのは初めてのことだ。首都圏のデータを中心に、平均値と中央値の違いを確認してみよう。
発売価格:中央値のほうが500万円ほど低い
首都圏の発売価格の平均値・中央値の推移を次図に示す。
ザックリいえば、ここ数年の発売価格は平均値よりも中央値のほうが500万円ほど低い。
専有面積:08年以降は中央値のほうが高い
首都圏の専有面積の推移を次図に示す。
07年を境に、専有面積が小さくなっていることが分かる(次図)。
特に、08年以降は平均値よりも中央値のほうが高い傾向が見られる。これは首都圏で発売された新築マンションのうち、専有面積が極端に小さい(狭い)物件の数が多かったことを意味している。
07年から12年にかけてより狭く、13年以降より高く
首都圏の専有面積と発売単価の推移を次図に示す。
07年から12年にかけて専有面積が小さく(より狭く)なり、13年以降は専有面積はそのままで発売単価が上昇している様子が分かる。
この傾向は平均値でも中央値でも同様である。