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国交省通知に拍子抜け!特区民泊でのマンション管理規約文案

国土交通省が11月11日付で特区に該当する自治体や不動産業界団体などに、周知を求める通知を出したことを伝える日経記事。


もくじ

特区のマンション、民泊可否を規約に明記を 国交省が通知(日経)

通知にはマンション管理組合向けの規約文案として「部屋を民泊に使用できる」「使用してはならない」など具体的な文言が例示されている。

特区のマンション、民泊可否を規約に明記を 国交省が通知

住宅の空き部屋に旅行者を有料で泊める民泊の広がりを受け、国土交通省は11日、マンション管理組合で民泊の受け入れが可能かどうかを規約に明記するよう要請することを決めた。国家戦略特区として民泊が認められた自治体にある建物が対象で、トラブル防止につなげる。

 同省は特区に該当する自治体や不動産業界団体などに同日、周知を求める通知を出した。通知にはマンション管理組合向けの規約文案として「部屋を民泊に使用できる」「使用してはならない」など具体的な文言を例示した。(以下略)

(日本経済新聞 11月11日)

 

国交省が11月11日にリリースした報道発表資料「特区民泊の円滑な普及を図るための住宅・建築行政上の対応について」をみると、通知内容は次の2点であることが分かる。

  1. マンション管理組合等への情報提供(別紙1)
  2. 特区民泊の建築基準法における取扱い(別紙2)

特に前者について、以下にひも解いてみよう。

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管理規約における明示の方法:使用することができる/使用してはならない

管理規約との関係について(推奨される対応)

(2)(前略)区分所有者間(管理組合)でよくご議論いただいた上で、できる限り管理組合としての方針を決定し、その際には、できるだけ管理規約において明示する等、事業予定者・区分所有者だけでなく、承継人や占有者に対してもできるだけ告知することが望まれます

「できる限り」とか「望まれます」といった、他人事のような表現に、国交省の民泊に対する中途半端な姿勢を感じてしまう。

 

また、当該事業実施区域内の新規分譲マンションについては、分譲事業者において、あらかじめ、規約上で方針を明示しておくことにより、マンション管理の健全性や、安心して投資できる環境が確保されるものと考えられます。

新築マンションを販売するデベロッパーが原始規約で、民泊可能を選択することはあるのか?

まあ、民泊専用の新築マンションの場合は別だろうが(札幌の高級住宅地に中国系不動産が民泊用(?)マンションを建設中)。

 

管理規約における明示の方法として、次の2ケースが例示されている。

  • 民泊を許容する場合:区分所有者は、その専有部分を国家戦略特別区域法第13条第1項の特定認定を受けて行う国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に使用することができる

  • 民泊を禁止する場合:区分所有者は、その専有部分を国家戦略特別区域法第13条第1項の特定認定を受けて行う国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に使用してはならない

なぜ、「民泊を許容する場合」が「民泊を禁止する場合」より先に例示されているのか?
国交省として「民泊を許容する場合」ほうを推進していることを暗示しているのか?

 

首を長くして待っていた規約の文言が「使用することができる」「使用してはならない」とは拍子抜けだ。まあ、それ以外に書きようがないのかもしれないが。

 

あと、使用細則に委ねる場合

区分所有者が、その専有部分を国家戦略特別区域法第13条第1項の特定認定を受けて行う国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に使用することを可能とするか否かについては、使用細則に定めることができるものとする。

仕様細則の記載例まで、示さなないのは手抜きでは。


住宅所有者または転貸人が認定事業者に住宅を貸し出す際の留意点

特に「住宅所有者が認定事業者に賃貸する場合」や「住宅所有者から賃借した転貸人が認定事業者に転貸する場合」、事業予定者は貸主及び転貸人の転貸の承諾を得る必要があるとし、次の2点が望ましいとしている。

  1. 貸主及び転貸人は、事業予定者が行う事業内容について事前に確認し、転貸の条件などについて、貸主、転貸人及び事業予定者の間で協議すること

  2. 協議内容を原賃貸借契約書(転貸人と事業予定者との契約は転貸借契約書)に反映させること

ようするに、大家や賃貸人は、民泊ホストと事前に協議し契約書にしておくことで後々のトラブルが回避できるという話。

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2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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