不動産経済研究所は9月14日、「8月の首都圏新築マンション市場動向」を発表。
- 発売は24.7%減の1,966戸。契約率は66.6%と3ヵ月連続の70%割れ。
- 戸当り価格5、662万円、m2単価79.8万円、ともに3ヵ月連続のダウン。
「減」「割れ」「ダウン」といった、ネガティブな単語が並ぶ。
ただ、これだけではよく分からないので、同研究所が過去に発表した数値データも含め、首都圏の新築マンション市場動向のトレンドを可視化してみた。
発売戸数・発売単価・販売在庫の推移(首都圏)
発売単価は、上下動を繰り返しながら上昇トレンドにあったが、やや落ち着いてきたところへ下落開始か? 6か月連続で80万円超えであった発売単価は、8月に80万円切りの79.8万円。
販売在庫は8か月連続で6千戸を突破。
供給戸数が減少しているのに、在庫が積み上がる。すなわち「新築マンションが売れていない」状況に突入している。
発売戸数の推移(1都3県)
23区に着目すると、8月の発売戸数623戸は、前年同月比で▲45.4%の大幅減。
m2単価の推移(1都3県)
23区の発売単価は、15年7月(119.9万円)にピークを記録したあと、上下動を繰り返えしながら、低下トレンドに入りつつあるようだ。
億ション発売戸数・率の推移(23区)
23区で発売された価格帯別戸数のデータが掲載されているので、14年度以降のデータをグラフ化してみた(次図)。
15年7月を境に潮目が変わって、15年7月の億ションの発売戸数が435戸と突出したのち、100戸~200戸(10%~20%)で推移していたのだが――
億ション率(全発売戸数に占める億ション発売戸数の割合)は2か月連続で下落。
8月の億ション率は3.8%。遂に15年6月以前の低い水準となった。
次に、23区の新築マンションの発売価格帯を俯瞰してみよう。
価格帯別の発売戸数割合の推移(23区)
23区の新築マンションの発売戸数は、前月まで5,000万円以下の供給割合が極端に低くなっていたのだが、8月は5,000万円以下の供給割合が増加し、5,000万円超の供給割合が減少した。
今後、庶民にも手が届く価格帯の供給戸数の割合が増えてくるのか――。
まとめ
- 首都圏では、供給戸数が減少しているのに、在庫が積み上がる。すなわち「新築マンションが売れていない」状況に突入している。
- 23区の発売単価は、15年7月(119.9万円)にピークを記録したあと、上下動を繰り返えしながら、低下トレンドに入りつつある。
- 億ション率(全発売戸数に占める億ション発売戸数の割合)は2か月連続で下落し、遂に15年6月以前の低い水準となった。
- 22区では8月は5,000万円以下の供給割合が増加し、5,000万円超の供給割合が減少した。
以上を勘案すると、ひょっとするとバブル破裂のカウントダウンが始まっているのかも知れない。
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