4月1日のR.E.port(不動産流通研究所)に、「不動産各社の入社式」の社長挨拶が掲載されている。
大手不動産会社6社の社長挨拶から、不動産市場の問題意識に触れている部分を(あまり触れていない社長もいるがそこは無理矢理)抜粋し、最後に「まとめ」を記しておいた。
- 三井不動産(株)代表取締役社長 菰田正信氏
- 三菱地所(株)取締役社長 杉山博孝氏
- 住友不動産(株)代表取締役社長 仁島浩順氏
- 野村不動産ホールディングス(株)取締役社長 沓掛英二氏
- 東京建物(株)代表取締役社長 佐久間 一氏
- (株)大京代表執行役社長 山口 陽氏
- まとめ
三井不動産(株)代表取締役社長 菰田正信氏
1年前の挨拶とほとんど同じ。「価値創造に果敢にチャレンジし、常に自らのビジネスをイノベーションし続ける」べきは社長からでは?
都市の魅力の高まりは、グローバル化が進んだ現代において、世界中から人材や資金、情報を集め、日本経済の活性化にも大きく貢献することになり、当社が担う役割は、その社会的な意義が大きなものとなっています。
2020年東京オリンピック・パラリンピック「街づくりゴールドパートナー」として、当社グループの街づくりの魅力は世界に発信していきたいと考えています。
三菱地所(株)取締役社長 杉山博孝氏
三井不動産の社長と同様、1年前の挨拶とほとんど同じ。「どんなときも新しい目線でものごとを捉え、自らにイノベーティブを起こし、チャンレジし続けることを意識」すべきは社長からでは?
海外へ進出するアウトバウンド事業も大切だが、東京の国際競争力を強化し、海外から人を呼び込むインバウンドの事業も非常に重要である。
今後引き続き双方向のグローバル化を推進する上で、皆さん一人ひとりにもグローバル対応力が求められる。あらゆる日常の仕事の中で、真の意味でのグローバル対応力を磨いていただきたい。
住友不動産(株)代表取締役社長 仁島浩順氏
今年は、「第七次中期経営計画」スタートの年となります。これまで、企業業績の改善や低金利継続など良好な景況が続いてましたが、足元では円高・株安基調に転じ、景気の先行き不透明感が強まっています。
また、建築費高騰をはじめとした課題もあり、不動産業界を取り巻く環境は依然として、楽観はできません。
野村不動産ホールディングス(株)取締役社長 沓掛英二氏
私から皆さんに本日お伝えしたいことは、当社グループは、「将来に向かって、野村不動産グループらしく独創的な不動産開発を進めるとともに、街づくりや住まい・不動産に関連するサービスやマネジメント分野を拡充させ、成長する」ということです。
東京建物(株)代表取締役社長 佐久間 一氏
社会人になって賃貸マンションに住み、家族ができてマンションを購入し、やがて年をとって老人ホームやサービス付高齢者向け住宅へ移るといったようなお客様のあらゆるライフステージの中で常に質の高いサービスを提供していく。
こうしたことで東京建物グループを「お客様から次も選んで頂ける」「社会から必要とされる」企業グループにしていきたいと考えています。
(株)大京代表執行役社長 山口 陽氏
今回紹介した6社中で最も文字数が多い。約3、000字、400詰め原稿用紙で約8枚。
新人は顧客の長話に耐えなければならないことを早くも学んだことだろう。
不動産業界においても、住宅ローン金利の引き下げといったプラス要素はあるものの、建築費の高止まりや人手不足に加え、実質賃金の伸び悩みによって消費者心理は低迷しており、新築・中古ともに、マンションの市況は、都心、湾岸エリアを除けば弱含みの状況です。
また、住宅総数6,063万戸に対して、世帯数は5,245万世帯となっており、空き家率は13.5%に上ります。
さらに、2020年以降は世帯数が減少する見通しであり、今後、空き家の有効活用が進まなければ、空き家率の上昇に加え、住環境の悪化や行政コストの増大など、様々な問題が生じる可能性があります。
まとめ
いずれの社長からも、傾斜マンション問題への言及はなし(世間の関心は移ろいやすい?傾斜マンション問題 )。
大手不動産会社6社の社長が挨拶で、不動産市場の問題意識に触れている部分は次のとおり。
- 2020年東京オリンピック・パラリンピック「街づくりゴールドパートナー」として、当社グループの街づくりの魅力は世界に発信(三井不動産)
- 海外から人を呼び込むインバウンドの事業も非常に重要(三菱地所)
- 建築費高騰をはじめとした課題もあり、不動産業界を取り巻く環境は依然として、楽観はできません(住友不動産)
- 独創的な不動産開発を進めるとともに、街づくりや住まい・不動産に関連するサービスやマネジメント分野を拡充(野村不動産HD)
- お客様のあらゆるライフステージの中で常に質の高いサービスを提供(東京建物)
- 新築・中古ともに、マンションの市況は、都心、湾岸エリアを除けば弱含みの状況(大京)
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