国土交通省は11月30日、「住宅着工統計(平成27年10月分)」を公表。
平成27年10月の住宅着工動向について、次のように記されている。
- 平成27年10月の住宅着工戸数は77,153戸で、前年同月比で2.5%減となった。また、季節調整済年率換算値では86.2万戸(前月比4.3%減)となった。
- 利用関係別にみると、実数値では、前年同月比で持家で増、貸家、分譲住宅で減となった。季節調整値については、前月比で分譲住宅で増、持家、貸家で減となった。 住宅着工の動向については、前年同月比で8か月ぶりの減少となった。分譲マンションについて前年同月に大規模物件の着工が多くあったことが要因である。貸家の着工については6か月ぶりの減少となったが、依然3万戸を超える水準で推移しており、堅調を維持している。
- 一方、昨年4月の消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動の影響が大きかった持家は前年同月比で6か月連続の増加となるなど、全体として持ち直しの傾向が続いている。
- 引き続き、今後の動向をしっかりと注視していく必要がある。
また、分譲マンションについては、次のように記されている。
前年同月比では2か月連続の減少(前年同月比17.2%減)。
これだけでは、よく分からないので、マンション関連のデータを中心に可視化(グラフ化)してみた。
分譲マンション前年同月比の増減推移(全国)
たしかに「前年同月比では2か月連続の減少」であることが分かる。
15年4月(消費税率引上げ時期)をピークに下降していることから、消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動が薄れてきたといえる。
マンション傾斜・偽装問題の影響が出てきたのか?
分譲マンション着工戸数の推移(三大都市圏別)
※黒色破線は、多項式(5次)の近似曲線。以下同じ。
首都圏では、季節変動が大きいものの、消費税率引上げ(14年4月)に伴う駆け込み需要の反動が薄れてきた模様。
首都圏について、前年同月比の増減を可視化したのが次のグラフ。
このグラフであれば、季節変動の影響を排除できる。
首都圏の10月は、前年同月比▲47.6%と大幅減。
15年4月(消費税率引上げ時期)をピークに下降していることから、消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動が薄れてきたといえる。
さらに、マンション傾斜・偽装問題の影響が出てきたのか?
分譲マンション着工戸数の推移(首都圏)
東京を見ると、季節変動が大きいものの、消費税率引上げ(14年4月)に伴う駆け込み需要の反動が薄れてきた模様。
千葉県は7月に続き、10月も着工戸数がゼロ。
マンション傾斜・偽装問題の影響が出てきたのか?
分譲マンション着工戸数の推移(東京都)
東京の10月に着目すると、昨年10月の着工戸数が例外的に多かったことがよく分かる。