Airbnbはこれまで米国内でのみ適用していた「ホスト補償保険」を、10月22日からは日本を含む16か国にも適用するという。
「ホスト補償保険」プログラムは米国内を対象に2015年1月15日より適用がスタートしました。
2015年10月22日からは日本を含む15か国以上に対象が拡大し、第一次保険としてご利用可能になりました。
- 第三者からの対人・対物事故による損害賠償請求に対する補償
- 宿泊中にけがを負ったゲストからの損害賠償請求対する補償
- ゲストが建物に損害を与えた場合の、家主からの損害賠償請求対する補償
- 「ホスト補償保険」が適用される事例
- 「ホスト補償保険」が適用されない事例
- 法令を順守していなくても「ホスト補償保険」は適用されるのか?
Airbnbはこれまで、最大100万ドルでホストを守ってくれるという「ホスト補償保険」を米国内でのみ適用していた。
ザックリいえば、2015年10月22日より適用開始となった「ホスト補償保険」により、ホストは次の3つの損害賠償請求に対して、100万ドルを上限に補償されることになっている。
- 第三者からの対人・対物事故による損害賠償請求
- 宿泊中にけがを負ったゲストからの損害賠償請求
- ゲストが建物に損害を与えた場合の、家主からの損害賠償請求
Airbnbサイトに掲載されている「ホスト補償保険って何?」や「ホスト補償保険」を元に具体的に整理しておこう。
第三者からの対人・対物事故による損害賠償請求に対する補償
ホストは最大100万ドルで守られることになっている。
「ホスト補償保険」プログラムは、第三者に財物破損・人身傷害で賠償請求された場合、第一次賠償責任保険として最高$1,000,000USDまで補償されるプランです。
補償額にはリスティング1ヶ所あたりの限度額$1,000,000USD、条件、制限、除外が適用されます。
宿泊中にけがを負ったゲストからの損害賠償請求対する補償
ホストだけでなく、家主とマンション管理組合もこの保険で保護されることになっている。
「ホスト補償保険」プログラムでは、宿泊中にけがを負ったゲストに賠償請求された場合、家主および住宅所有者組合にも保護が適用されます。
ゲストが建物に損害を与えた場合の、家主からの損害賠償請求対する補償
ゲストが建物に損害を与え、家主から損害賠償請求された場合にも、ホストは最大100万ドルで守られることになっている。
ホスト補償保険プログラムはゲストが建物を物的に損壊した場合も適用されることもあります。
これは、ホストに対する家主からの損害賠償請求などの場合です。
「ホスト補償保険」が適用される事例
ゲストが滞在中の事故で補償が出る具体例として、3つの例が掲げられている。
- ゲストが絨毯の上で転んで手首をけが。ホストに医療費の損害賠償を求めた。
- ゲストが宿泊先アパートと同じ建物内のジムで走っていたら、ランニングマシンが壊れて転んでけが。ホストとビル所有者に医療費の損害賠償を求めた。
- ゲストが宿泊先ビルのロビーで第三者の足にうっかりスーツケースを落としてけがを負わせてしまった。その第三者がホストとビル所有者に医療費の損害賠償を求めた。
「ホスト補償保険」が適用されない事例
「ホスト補償保険」プログラムが適用されない事例として、4つの例が掲げられている。
トコジラミ(別名、南京虫)はNGとなっているが、ノミはどうなのか(笑)
- 偶発的事故による賠償ではない、意図的行為
- 誹謗中傷・名誉毀損の訴え
- 細菌、トコジラミ、アスベスト、公害など住宅の問題
- 運転中の車などの自動車事故
「ホスト補償保険の概要 」(PDF:96KB←注意:クリックするとPDFがダウンロードされます)によると、「ホスト補償保険プログラム」は、ロイズ・オブ・ロンドン加盟の保険会社「アポロ」を介して補償が提供されるプラン。
ホストは保険料を別途支払わなくても保険の適用を受けることができるとされている。
法令を順守していなくても「ホスト補償保険」は適用されるのか?
「ホスト補償保険の概要」の表紙には気になることが記されている(次図)。
約款は一般的な損害賠償責任保険の形式で書かれています。保証範囲と適用除外事項も、一般的な損害賠償責任保険の約款に沿うものです。
表紙を含め3ページからなる「ホスト補償保険の概要」には、詳しいことは書かれていない。
ただ、最後のページの文末に、法定文書ではないとの注釈がある。
本稿はホスト補償保険プログラムの一般的な賠償責任保険約款の原契約を善意で概要説明したものです。法定文書ではありません。
「善意で概要説明した」という上から目線の文言にカチンとくる気持ちを抑え、「一般的な賠償責任保険約款」を確認してみよう。
賠償責任保険(Wikipedia)によれば、主な免責事由(保険会社が保険金の支払を免責される事由)のひとつに次の事項が掲げられている。
損害賠償に関して約束した契約条項(Indemnity Agreement)により生じる損害賠償責任(ただし、そうした約定がなくても当然に生じる賠償責任は除く)
Airbnbのヘルプ文書によれば、ホストは法令を遵守していることが前提になっている。
(略)Airbnbにお部屋を掲載する前に地元の法令をご確認いただきますようお願いします。詳しくは「ホストの責任」ページの「お住まいの市町村の法令」の欄をご覧ください。
Airbnb利用規約に同意しリスティングを掲載することで、地方の法令を遵守することに同意したことになります。(Airbnbでホスティングを始める前に、法律や規制の面で気を付けるべきことは何ですか? | Airbnbヘルプセンター)
大阪府や大田区で「民泊条例」が制定された暁には、同エリアで運営されているAirbnb物件の多くは法律違反であることが明確になる(役所がそれを取り締まるか否かは別の話だが)。
そうなると、Airbnbに対して法令を順守していることを約束しているはずのホストは、「約束した契約条項」を守っていないことになるので、「ホスト補償保険」が適用されないことにはならないのか?
日本のAirbnbは、実質的には自賠責なしで車を運転しているような状況にならないのか?(日本のAirbnbは自賠責なしで車を運転しているようなもの)