少子高齢化、東京への一極集中により、地方が消滅するという増田 寛也氏の新書「地方消滅 - 東京一極集中が招く人口急減 (中公新書) がベストセラーとなっている。
全国自治体でどの程度、子育て世代が増減しているのか?
住民基本台帳のデータをひも解き、可視化してみよう。
- 全国の転入超過率の分布図(2014年)
- 全国の転入超過率ベスト20(2014年)
- 全国の転入超過率ワースト20(2014年)
- 首都圏の転入超過率の分布図(2014年)
- 首都圏の転入超過率ベスト10(2014年)
- 首都圏の転入超過率ワースト10(2014年)
- 中部圏の転入超過率の分布図(2014年)
- 近畿圏の転入超過率の分布図(2014年)
住民基本台帳人口移動報告(平成26年)の第16表(平成27年2月5日公表)に、年齢階層別(5歳階級)に全国の市区町村ごとの「転入者数」「転出者数」データが掲載されているのだが、平成26年1月1日時点の市区町村の人口データがないと、転入超過率(=[転入者数-転出者数]÷平成26年1月1日時点の人口)が計算できない。
そこで、さらに平成26年住民基本台帳年齢階級別人口(市区町村別)(平成26年6月25日公表)のデータを使う。
転入者数・転出者数データと人口データのエクセルのフォーマットが違うので、合せるのに膨大な手作業を要した(計算させないようにワザとそうしているのかと言いたくなるほどだ)。
全国の市区町村ごとに、子育て世代(25~34歳)の転入超過率を計算し、地図に落としたのが次の図だ。
全国の転入超過率の分布図(2014年)
苦労して作った割には、あまり分かりやすい図とはなっていない (~_~;)
そこで、全国のランキングデータも整理してみた。
全国の転入超過率ベスト20(2014年)
全国の転入超過率ベスト20、すなわち人口の流入の割合が高い自治体ベスト20は次のとおりだ。
( )は転入超過人数。
- 1位:鹿児島県鹿児島郡三島村(13人)61.90%
- 2位:東京都青ヶ島村(5人)20.83%
- 3位:沖縄県島尻郡渡名喜村(4人)13.33%
- 4位:鹿児島県大島郡大和村(13人)12.87%
- 5位:新潟県岩船郡粟島浦村(2人)12.50%
- 6位:沖縄県島尻郡座間味村(12人)11.76%
- 7位:宮崎県東臼杵郡諸塚村(13人)10.92%
- 8位:福島県南会津郡檜枝岐村(4人)10.00%
- 9位:鹿児島県大島郡与論町(42人)9.40%
- 10位:北海道上川郡東神楽町(81人)8.89%
- 11位:福岡県糟屋郡新宮町(322人)8.48%
- 12位:沖縄県八重山郡竹富町(46人)8.29%
- 13位:東京都中央区(1988人)8.20%
- 14位:北海道余市郡赤井川村(7人)7.95%
- 15位:島根県隠岐郡海士町(13人)7.93%
- 16位:東京都大島町(47人)7.42%
- 17位:沖縄県八重山郡(50人)6.95%
- 18位:沖縄県島尻郡伊是名村(8人)6.78%
- 19位:鹿児島県大島郡和泊町(40人)6.70%
- 20位:高知県幡多郡三原村(7人)6.67%
- 20位:長崎県北松浦郡小値賀町(10人)6.67%
どちらかといえば九州の自治体が多くランクインしている。
東京都中央区(8.20%)の転入超過人数(1988人)が突出しているのが目立つ。
全国の転入超過率ワースト20(2014年)
逆に、人口が流出している割合の高い自治体ワースト20は次のとおり。
- 1位:奈良県宇陀郡曽爾村(-25人)-21.19%
- 2位:高知県安芸郡馬路村(-12人)-14.12%
- 3位:東京都御蔵島村(-6人)-10.53%
- 4位:長野県下伊那郡天龍村(-8人)-9.20%
- 5位:鳥取県日野郡日野町(-21人)-8.94%
- 6位:滋賀県蒲生郡竜王町(-136人)-8.59%
- 7位:長野県南佐久郡北相木村(-4人)-8.51%
- 8位:京都府相楽郡笠置町(-10人)-8.33%
- 9位:沖縄県宮古郡多良間村(-8人)-8.08%
- 10位:北海道樺戸郡月形町(-27人)-8.01%
- 11位:山口県熊毛郡上関町(-13人)-7.88%
- 12位:大阪府南河内郡千早赤阪村(-36人)-7.84%
- 13位:北海道虻田郡留寿都村(-18人)-7.69%
- 14位:長野県東筑摩郡生坂村(-12人)-7.64%
- 15位:群馬県多野郡神流町(-9人)-7.56%
- 16位:奈良県吉野郡下北山村(-4人)-7.55%
- 17位:東京都西多摩郡奥多摩町(-25人)-7.49%
- 18位:神奈川県足柄下郡箱根町(-92人)-7.29%
- 19位:群馬県甘楽郡下仁田町(-43人)-7.28%
- 20位:栃木県塩谷郡塩谷町(-88人)-7.25%
ワースト20に九州の自治体が入っていない!
子育て世代にとって、九州は住みやすいということなのだろうか。
トップの奈良県宇陀郡曽爾村(「そにむら」と読む)とはどんな村なのか?
昨日のブログ 地方への移住・住み替えのためのお役立ちサイト で紹介した「ニッポン移住・交流ナビ」で調べてみると、45歳以下の若者向けの定住促進住宅用地を分譲(310m2、110万円)していたことや、平成26年度曽爾村地域おこし協力隊員として2名募集(村の臨時職員月額165,000円)していたことが分かる。
すでに募集は終了しているのだが、2名集まったのだろうか。
全国の市区町村ごとの転入超過率の計算に苦労したので、3大都市圏(首都圏、中部圏、近畿圏)の地図も紹介しておこう。
首都圏の転入超過率の分布図(2014年)
都心部への人口(25~34歳)の流入が多いことが分かる。
ついでにランキングも。
首都圏の転入超過率ベスト10(2014年)
- 1位:東京都中央区(1988人)8.20%
- 2位:東京都千代田区(584人)6.10%
- 3位:東京都東大和市(559人)5.86%
- 4位:東京都港区(2191人)5.44%
- 5位:千葉県流山市(1069人)4.82%
- 6位:群馬県北群馬郡吉岡町(115人)4.44%
- 7位:千葉県長生郡睦沢町(27人)4.25%
- 8位:東京都墨田区(1669人)4.06%
- 9位:埼玉県ふじみ野市(503人)4.04%
- 10位:東京都台東区(1177人)3.95%
6位で奮闘している群馬県の吉岡町(4.44%)は、前橋市と隣接する利根川沿いの町。前橋市に隣接する大久保地区にショッピングモールが建設される等の発展を見せている(Wikipedia 吉岡町)らしい。
首都圏の転入超過率ワースト10(2014年)
- 1位:群馬県多野郡神流町(-9人)-7.56%
- 2位:東京都西多摩郡奥多摩町(-25人)-7.49%
- 3位:神奈川県足柄下郡箱根町(-92人)-7.29%
- 4位:群馬県甘楽郡下仁田町(-43人)-7.28%
- 5位:栃木県塩谷郡塩谷町(-88人)-7.25%
- 6位:埼玉県比企郡鳩山町(-81人)-6.33%
- 7位:神奈川県愛甲郡清川村(-19人)-5.94%
- 8位:埼玉県秩父郡東秩父村(-15人)-5.79%
- 9位:栃木県下都賀郡岩舟町(-103人)-5.60%
- 10位:千葉県長生郡長柄町(-35人)-5.29%
ワーストの神流町は、「ニッポン移住・交流ナビ」で調べてみると、2014年09月10日まで田舎のテレビ局で働く人を1名募集(日額8,000円)していたが、決まったのだろうか。
中部圏の転入超過率の分布図(2014年)
中部圏にお住まいの方、いかがですか?
近畿圏の転入超過率の分布図(2014年)
近畿圏にお住まいの方、いかがですか?
(本日、マンション広告なし)