日本でも不動産系のスタートアップが続々と生まれている(不動産系のスタートアップが熱い)。
これらのスタートアップが目指している不動産マーケットはどのくらいの規模なのか?
筆者が長年観測している首都圏のマンション市場について、推定してみよう。
首都圏の新築マンションの市場規模の推定
首都圏の新築マンションの供給戸数は、8万戸(2001年~2005年)の時代から、2009年の3万6千戸をボトムに、ここ数年は4万戸から5万戸と低迷している(下図参照)。
そこで、首都圏の年間の新築マンションの供給戸数を4万戸としよう。
(不動産経済研究所のデータをもとに作成)
不動産経済研究所が2015年1月21日に発表した、「首都圏マンション市場動向―2014年のまとめ―」によれば、2014年に発売された首都圏の新築マンションの平均価格は5,060万円とされている。
そこで、上述の「年間の新築マンションの供給戸数を4万戸」に「平均価格5,060万円」を掛けて、首都圏の新築マンションの市場規模は2兆円(=4万戸×5千万円/戸)と推定できる。
首都圏の新築マンションの広告宣伝費の推定
筆者が3年ほど前に調べたデータによれば、大手不動産会社の広告宣伝費率(「営業収益」に対する「広告宣伝費」の割合)は1%~3.5%、中小デベロッパーの広告宣伝費率1%~5%であった(下図参照)。
大手、中小に係らず、広告宣伝費率はかなりバラツキがあるので、ここは1%~4%と幅を持たせて設定する。
売上高(=分譲価格)の10%が営業利益だと想定すると、売上高に対する広告宣伝費の割合は0.1%~0.4%(=(1%~4%)×10%)となる。
よって、首都圏の新築マンションの広告宣伝費は年間で20億円~80億円(=2兆円×(0.1%~0.4%))。間をとって年間50億円としよう。
市場を全国に広げても、首都圏の発売戸数が支配的なので50億円が倍になることはないだろう。
不動産系のスタートアップの目指しているのは―
不動産系のスタートアップは、この年間50億円というパイの争奪に向けてビジネスモデルの構築を目指していることになる(そうではないビジネスモデルがあるかもしれないが)。
宣伝広告費は、モデルルームの建設費・維持管理費のほか、受付けの派遣社員の人件費、来場者へのプレゼント、折込みチラシの作成・配布費用などに費やされる。
そこで、たとえば、モデルルームを建設せずに、IT技術を使ってバーチャルなモデルルームを構築するサービスを提供する。
あるいはIT技術を使って、売主と消費者を結びつけるサービスを提供する(この手のスタートアップは多い)。
ちなみに、当ブログは、消費者に首都圏を中心にマンション選びのためのお役立ち情報を提供し、Google Adsenseのアフィリエイト収入として、年間50億円の広告宣伝費のおこぼれを頂戴しているというビジネスモデル (^_^;)
(本日、マンション広告2枚)