内閣府は8月25日「国民生活に関する世論調査(平成26年6月調査)」の結果を公表。
調査項目は次の4つ。
- (1) 現在の生活について
- (2) 今後の生活について
- (3) 生き方,考え方について
- (4) 政府に対する要望について
「(1) 現在の生活について」のなかに、「住生活」の満足度についても調査結果が公表されていたので、ひも解いてみた。
住生活の満足度の変化

「満足している」「まあ満足している」を合わせた「満足」の割合は、概ね上昇傾向にあり、約8割の国民が「満足」していることになっている。
一方、「やや不満だ」と「不満だ」を合わせた「不満」の割合は、減少傾向にあり、約2割にとどまっている。
約8割の国民が住生活に「満足」しているだなんて、本当か?
念のため、「満足」と「不満」の内訳も可視化したのが次のグラフ。

たしかに、「満足している」の割合が増加するのに対して、「不満だ」の割合が減少しているぞ。
「都市規模別」「男女別」「年齢別」「従業上の地位別」「職業別」「住宅形態別」の満足度データも公開されていたので、順番に可視化してみよう。
都市規模別の満足度

「不満」とする者の割合は大都市、とりわけ東京都区部で高くなっている。
男女別の満足度

男女の違いは、ほとんど見られない。
年齢別の満足度

40代・50代の不満の割合が高く、20代・70代以上の不満の割合が低い。
従業上の地位別の満足度

従業上の地位による違いは、ほとんど見られない。
職業別の満足度

「販売・サービス・保安職」の不満の割合がやや高い。
住宅形態別の満足度

他の類型と比べて、最も不満の差が大きい。
持家よりは賃貸が、戸建よりは集合住宅のほうが不満の割合が高い。
それにしても、多少の差はあれ、なぜ、約8割もの国民が住生活に「満足」しているのか?
調査方法に問題はないのか?
調査対象者は、全国20歳以上の日本国籍を有する者10,000人。層化2段無作為抽出法が採用されている。調査時期は、平成26年6月19日〜7月6日。
ここまでは問題なさそうだ。
ただ、調査員による「個別面接聴取法」というのが引っかかる。
国からの委託を受けた専門知識や技術を持つ民間の調査会社の調査員が、自宅に訪問し、面接による調査なのだ。
よほどひどい住生活を送っている人か、へそ曲がりを別とすれば、調査員を前にして、「住生活に満足していません!」と自分の住生活を否定する人はそう多くはないのではないだろうか。
(本日、マンション広告なし)