不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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増税前にあせって買う必要はなさそうだ

湾岸の超高層マンション群エリアの外れに建つ、超高層マンション。

【予告広告】銀座一丁目駅直通8分、駅徒歩10分。総戸数585戸、43階建。販売戸数/未定、2LDK(55.37m2)〜4LDK(90.35m2)。予定販売価格2,980万円〜7,480万円、予定最多価格帯4,900万円台。平成26年1月中旬竣工(本チラシ掲載日の1年5カ月後)。

  • ※6月16日(土)、7月15日(日)の物件と同じ。

新聞半紙大のチラシ裏面の「物件概要」に目を凝らしていて、ふと気になった。
このマンションの竣工予定時期が「平成26年1月中旬」となっている。
消費税の税率が5%から8%に上がるのは、2014年(平成26年)4月から。
8%の税率が適用されるのは、マンションの契約成立時ではなく、引き渡し時だ。
このマンションの引き渡し時(≒竣工時)は「平成26年1月中旬」だから、現在の税率5%で購入することができる。


営業マンは「このマンションは税率5%で購入できます」と喧伝するんだろうな・・・・・・。

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では、増税前(平成26年3月)までに、マンションを購入することが、本当にいいのかどうか?
このことについては、8月17日付けの朝日新聞朝刊の生活欄(28面)に、「大きな買い物、いつが得?」にも記されている。

(前略)
「増税前がチャンス」「今こそ買い時」――。住宅業者のチラシには、こんな言葉がおどる。増税直前に駆け込み需要が集中すれば品不足も起こり得るとして、「早めの購入を」と呼びかける。
だが、いま買うのは本当に得なのか
ニッセイ基礎研究所の分析では、1997年4月の3%から5%への税率引き上げでは、年間の住宅投資の約1割にあたる2.4兆円もの駆け込み需要が発生したという。
増税後の反動も大きかった。不動産経済研究所の集計によると、97年の新築マンション供給戸数は前年比19%減。平均価格は97年からの1年で約5%下がった


住宅ジャーナリストの榊淳司さんは「今回も増税後に値下がりするとみられ、下落幅によっては増税分をカバーできる。人□減少での長期的な値下がりも考えると、あせって買う必要はない」と説く。


住宅業界も増税後の売り上げ大幅減を懸念し、住宅購入者への還付金など、国に対策を求めている。みずほ証券の石澤卓志・チーフ不動産アナリストは「国の施策次第では、前回ほど大きな駆け込み需要は出ないことも考えられる」と話す。
(後略)

「ポッケト住宅データ2012(住宅金融普及協会)」の頁18に「首都圏マンション市場」として、1987年度から2010年度の「発売戸数」「m2当たり分譲単価」「分譲価格」などの数値データが掲載されている。
グラフ化すると下図の通りだ。
5%となった1997年度に発売戸数は減少し、分譲価格は(m2当たりの分譲価格も)若干上昇するが、翌1998年度以降は、発売戸数は増加に転じるとともに分譲価格は(m2当たりの分譲価格も)下降に転じていることが分かる。


どうも増税前にあせって買う必要はなさそうだ。
首都圏マンション市場(1)


首都圏マンション市場(2)

(本日、マンション広告2枚)

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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