不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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登録受付期間中のプレゼント・キャンペーンの意味


本日、マンション広告5枚。

【本広告】巣鴨駅直通12分、駅徒歩9分。総戸数49戸、13階建。販売戸数49戸、3LDK(72.74m2)〜4LDK(90.47m2)。販売価格3,990万円〜6,780円、最多価格帯4,500万円台。平成24年8月下旬竣工(本チラシ掲載日の1年後)。

駐車場跡地に建つ中規模マンション。


新聞半紙大の、「新発売」を謳う「本広告」。
チラシのオモテ面に、買い急ぎを煽るキャッチコピー。

  • ご好評をいただき2物件連続即日完売となった○○シリーズ。

近くで販売した2物件ともに「即日完売」したという。


2つの物件(P物件・D物件)は、実際に飛ぶように売れていたのか?
それとも、「予告広告」でモデルルームに集客し、“即日完売”できる見通しが得られた段階で「本広告」を出して短期間で受付・抽選に走るという、最近はやりの“即日完売”演出物件なのか?
発売履歴を確認すべく、リクルート社のフリーマガジン「SUUMO新築マンション(首都圏版)」のバックナンバーをひも解いてみた。


P物件(総戸数90戸)の売れ行き
初めて「予告広告」が出されたのが10年5月18日号。
6月22日号では、「7月下旬」に「本広告」が出される予定となっていた。
ところが、8月3日号では「8月中旬」に、8月17日号では「8月下旬」に、「本広告」が出る時期が延伸された。
さらに、8月31日号で「9月上旬」に延伸された後、9月14日号でようやく、第1期の「本広告」で77戸が発売されることに。
結局、6月22日号で予定されていた「本広告」の出る時期が2カ月余り延伸されたことになる。


その後、9月28日号で「第2期(最終期)」の「予告広告」が出され、延伸されることなく、10月5日号の「第2期(最終期)」の「本広告」で残りの13戸が発売されている。


ということで、このP物件は、“即日完売”演出物件と認定。


D物件(総戸数82戸)の売れ行き
では、D物件(総戸数82戸)の売れ行きはどうだったのか?


初めて「予告広告」が出されたのが10年10月26日号。
11月9日号では、「11月下旬」に「本広告」が出される予定となっていたのだが――
11月23日号では、約10日延伸の「12月上旬」に「本広告」が出されることとなり、12月14日号の「本広告」で82戸が発売されている。


ということで、2つの期に分けて販売した前述のP物件とは異なり、このD物件は一度に全部の住戸を、しかもさほど延伸することなく販売され、完売に至っている。


T物件(総戸数49戸)の売れ行き
では、本日のチラシに掲載されたT物件の売れ行きはいかに?


初めて「予告広告」が出されたのが11年5月3日号。
6月21日号では、「7月中旬」に「本広告」が出される予定となっていたのだが――
7月19日号では、約10日延伸の「7月下旬」に「本広告」が出されることとなり、8月2日号の「本広告」で49戸が発売されている。


ということで、前述のD物件と同様、さほど延伸されることなく、一度に全部の住戸が発売されているのだ。



以上に記した、P物件、D物件、そして本日のチラシのT物件の発売履歴をグラフにすると次図のようになる。
3物件の発売予定日の延伸状況
最初のP物件の売れ行きはイマイチだったが、後発のD物件とT物件の売れ行きは悪くなさそうだ。
実際に、D物件は既に完売している。


登録受付期間中のプレゼント・キャンペーンの意味
本日のチラシのT物件も完売しそうな雰囲気なのだが、チラシを見て、とっても気になることがある。
チラシのオモテ面に次のような「ご来場キャンペーン」が謳われているのだ。

本チラシをご持参の上、ご夫婦でご来場いただいた方へ プチアーナ(現地近くのイタリアンレストラン)のグルメチケットプレゼント。
※ご夫婦でご来場いただき、コンセプトルームご見学の後、アンケートにご協力頂いた方にグルメチケット2000円券をプレゼント。1家族1回限りとさせて頂きます。他のキャンペーンとの併用は出来ませんことを予めご了承ください。

総戸数49戸を期分けせず、一度で発売するほどに、順調な集客が見込まれているであろうこの段階で、なぜ、わざわざ「グルメチケット2000円券をプレゼント」キャンペーンでさらに集客する必要があるのか?
そもそも、なんで筆者の住む地域から遠く離れた区の折り込みチラシが今頃入ってくるのか?


考えられる理由は3つ。
ひとつ目は、「グルメチケット2000円券」狙いの冷やかし客であっても、マンションギャラリーに大勢の人が来ることで、購入しようかどうか迷っている人の背中を押す効果が期待できること。
二つ目は、マンションギャラリーに多くの人が来場している状況が、ツイッターやフェイスブッックなどの口コミ情報によって拡散されることで、人気物件を演出することが期待できること。
3つ目は、「グルメチケット2000円券」で購入希望者が増えれば、抽選倍率を上げることができる。上記の口コミ情報と併せて、この大手デベロッパーのブランド力を向上させることができる。


あなたが「グルメチケット2000円券」狙いの冷やかし客に留まっているうちはいいのだが――
今の段階で営業マンのセールストークに絡みとられて、登録・抽選に挑もうものなら、単に抽選倍率を上げるための協力者になっていることがあるのかもしれないことに気を付けよう。


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2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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