不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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11・12年度のマンション市場、回復基調が継続?

RICE(財団法人建設経済研究所)が7月27日、「建設経済モデルによる建設投資の見通し」を発表。
「住宅着工戸数の推移」として、次のように分析されている。

2011年度の住宅着工戸数は、2010年度比3.4%増の84.7万戸、2012年度の住宅着工戸数は、2011年度比3.1%増の87.3万戸と予測する。

また、次の「住宅着工戸数の推移(年度)」グラフも掲載されている。
住宅着工戸数の推移(年度)
上記グラフの数値データも掲載されていたので、次のような分譲(マンション・長屋建)の折れ線グラフを作成してみて、妙なことに気が付いた。
着工戸数の推移(マンション・長屋建) (横軸のマジック)


横軸不連続の違和感
掲載されている「住宅着工戸数の推移(年度)」グラフの横軸の年度が等間隔でないのだ。
1995年〜2005年は5年間隔、2007年度以降は1年間隔だ。
掲載されている「住宅着工戸数の推移(年度)」グラフをよく見ると、横軸が不連続であることを示す二重線が、2005と2007の間に入っている。


横軸を等間隔に見直したグラフは、次の通りだ。
着工戸数の推移(マンション・長屋建) (適切な横軸表示)
不連続なグラフでは、着工数の落ち込みが08年9月のリーマン・ショックが主要因のように見えたのだが、等間隔でグラフを描き直すことで、リーマン・ショックに係らず、2005年度から着工戸数が急激に落ち込んでいる様子がよく分かる。


分譲(マンションと戸建)の着工見通し
「住宅着工戸数の推移」のうち、「分譲(マンションと戸建)」については、次のように分析されている。

分譲は2010年3月以降、前年を大きく上回る増加傾向で推移してきたが、震災の影響を受け、2011年3月及び4月は増加幅が縮小した。
しかし、5月には前年同月を大きく上回り、従来の増加傾向に戻った可能性がある。
2011年4‐5月の着工戸数は、対前年同期比25.2%増の3.9万戸となった。
特に「マンション」の回復が著しく、2011年5月は対前年同月比138.1%増と大幅に回復した。
ただし、今回の震災で液状化被害が生じた臨海部の物件やエレベーターが停止した高層マンションには、需要低下の懸念がある
2011年度の着工戸数は、対前年度比9.0%増の23.1万戸と予測する。
2012年度は、回復基調が継続するとみられ、着工戸数は対前年度比3.9%増の24.0 万戸と予測する。

ちなみに、「分譲(マンションと戸建)」の11年度と12年度のそれぞれの着工見通しデータは、117.1万戸(前年度比18.7%)、120.4万戸(同比2.8%)と、回復基調となっている。


分譲マンション着工戸数の推移(国交省)
11年度・12年度の「分譲(マンションと戸建)」の着工戸数が回復基調にあるとする建設経済研究所の発表資料に対して、現状はどうなのか?
国交省が7月29日に公表した「建築着工統計調査報告」の数値データをグラフ化してみた。


分譲マンション着工戸数の推移(三大都市圏別)
リーマン・ショックから回復傾向に向かいつつあったのだが、ここへきて踊り場状態に入りそう。


分譲マンション着工戸数の推移(首都圏)
都内は踊り場状態。回復兆候の見られていた神奈川は失速し始めたのか、目が離せない。


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