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これからの「正義」の話をしよう〜工期遅延リスクは誰が負うべきか?


本日、マンション広告なし。

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東北関東大震災、工期遅延リスクは誰が負うべきか?


不動産公正取引協議会連合会の御達し
不動産公正取引協議会連合会は4月1日、東北関東大震災の影響を踏まえ、業界関係者に向けて、「『入居予定年月』が未確定となる物件の予告広告の取扱いについて」発表した。
「本広告」の取り扱いについては、尚書きで次のように記されている。

なお、本広告においては、必要表示事項をすべて記載し、入居予定年月等を記載の上、これらの予定年月が遅れることがあり得るときは、その旨を付記してください。

計画停電や資機材搬入の滞りなどにより竣工時期が遅れ、さらに入居予定日が遅れた場合、「本広告」に上記尚書きが記載されていれば、デベロッパーの責任は免れるというのか?
数日の遅れであればともかく、長期にわたる遅れともなると、マンション購入者には仮住まいの確保や引っ越し手配のやり直しなど、余分な費用が発生する。


竣工時期の遅れに対して、ゼネコンがデベロッパーにペナルティー(遅延金)を払ってくれるのか?
多くの請負契約書の下敷きとなっている、民間連合(旧四会連合)工事請負契約約款の「第21条 不可抗力による損害」では、東日本大震災(天災その他自然的または人為的事象)で、デベロッパー(甲)とゼネコン(乙)のいずれにも落ち度がなければ、損害は、ゼネコン(乙)ではなく、デベロッパー(甲)が負担することとなっている。


ようするに、今回のような大地震の場合には、ゼネコンは、デベロッパーに対してペナルティー(遅延金)を払う必要がないことになっているのだ。


マンション購入者が泣き寝入りしなければならないのか?
では、デベロッパーが「本広告」で「東日本大震災の影響により工期の遅れが生じる場合がございます」と断っていれば、入居予定日が遅れた場合、マンション購入者が泣き寝入りしなければならないのか?


入居予定日の遅延による損害に泣き寝入りしないために、購入契約書で、遅延につき1日当たり○○円のペナルティー(遅延金)をデベロッパー(売り主)に課すことも可能なのだが――
そのペナルティー(遅延金)分がリスクプレミアムとして、販売価格に上乗せされるだろうから、購入者にとっては、かえって高い買い物になってしまう可能性がある。


入居予定日遅延リスクをデベロッパーに負担させるべきか、購入者が負担すべきか、悩ましいところだろう。


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