不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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マンション併設保育所は、将来、老人の憩いのスペースに

鋼板圧延工場の跡地に建つ、大規模マンション。

【予告広告】秋葉原駅直通9分、駅徒歩6分。総戸数457戸(事業協力者住戸39戸含む)、14階建。販売戸数/未定、2LDK(57.94m2)〜4LDK(92.79m2)。販売価格/未定。平成24年2月上旬竣工(本チラシ掲載日の1年4カ月後)。

  • ※9月18日(土)の物件と同じ。


新聞半紙大のチラシ裏面に、子育て世代の関心を引きそうなキャッチコピーが。

  • 日常も、家族の時間も子育ても。
  • 毎日を輝きで満たす多彩な共用空間&配慮。
    • 0歳児〜5歳児まで託児可能な認可保育施設を併設予定。

よく見ると、ゴマ粒サイズのとっても小さな文字で、「ご入居者の入所に際する優先権等はありません」と注釈されている。
マンションを買ったからといって、優先的に認可保育施設に入れるわけではないのだ。
せっかく認可保育所付きのマンションを買ったのに、抽選に外れ、わが子を遠くの認可外保育所に送り迎えすることほど情けないことはあるまい。


さらに泣きっ面に蜂的なところは、この認可保育所の整備費用の一部がマンションの購入価格に上乗せされていることだ。
この物件が建つ江東区の「マンション等の建設に関する指導要綱(改正 22江都住第545号)」の第12条には次のように記されている。

第12条(公共施設整備協力金の要請)

  • 区長は、事業者に対して、マンション等の建設により必要となる公共施設への受入等の対策を講じるため、次に定める基準により公共施設整備協力金を求めるものとする。


 住宅戸数  金額
 世帯用住戸30戸以上  125万円/戸×(世帯用住戸数−29戸)

  • 2 区長は、前条第2項の規定により、事業者から公共施設整備等の協力があった場合は、前項に定める金額を減じることができるものとする。

本物件の総戸数457戸を上記数式に当てはめると、「公共施設整備協力金」は5億3千万円(=125万円/戸×(457戸−29戸))。
1世帯当たりにすると、117万円だ。


上記の第12条2項により、「事業者から公共施設整備等の協力があった場合は」5億3千万円の「公共施設整備協力金」をまけてもらえることになっているのだが――
売主がキャッシュで協力するにせよ、保育施設を併設することで協力するにせよ、マンション購入者が117万円程度の負担をすることには変わりがない。
保育児童を持たない世帯からすれば、受益者負担の原則から外れる117万円の出費には納得がいかないかもしれない。


江東区の「認可保育所の整備計画」をみると、平成22年度から平成25年度にかけて開園する「民設民営」の保育園は5カ所(合計定員418人)となっている。
こういった大規模マンションの一角に設けられた保育施設は、将来、老人の憩いのスペースに転用されるのか・・・・・・。

(本日、マンション広告1)

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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