不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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住宅ローンの焦げ付き状況

住宅ローンの焦げ付き状況


昨日放送された「噂の東京マガジン(TBS、13時〜)」の「噂の現場」のテーマは、「給料激減!住宅ローン破たん急増」。
北野誠のレポート――
頭金が工面できない人には、値引きした分を頭金に装って、銀行のローン審査を通りやすく指南する販売員の話が紹介されていた。
売ることを最優先。売ってしまえば後は知らないという販売員。
ローン破たんが急増するのもさもありなんと思うのだが、実際にどれくらい急増しているのかよく分からない。


“住宅ローン破たん急増”のマスコミ情報はよく見かけるのだが、その多くは、実際にローン破たんした人の状況レポート。
その根拠として、「競売件数の推移」や「自己破産件数の推移」統計データが紹介されているのだが、住宅ローン破たん者以外の数字も含まれているので、正確とはいえない。


住宅ローン破たん者はどれくらい増えているのか?
関係省庁や銀行、日銀のホームページを探ってみたのだが、ズバリの情報は見つからなかった。
唯一それらしき情報は、住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の「スクロージャー誌」に掲載されている「リスク管理債権の状況」データだ。
同データは、表形式の数値データで分かりにくいので、見える化してみた(右上グラフ参照)。


平成13年度以降増加し続けていたリスク管理債権比率(≒住宅ローンの焦げ付き状況)が、平成19年度にピーク(8.4%)となり、翌20年度に8.1%にいったん下がったものの、平成21年度には再び8.5%まで上昇している。
その間、「元金残高」は下がり続けているから、ローン利用者(マンション・戸建て購入者)は減少している。
したがって、平成20年度から平成21年度に向かって、ローン破綻した人の<割合>は増えているが、<絶対者数>は減少していることになる。
平成22年度に入ってからのデータは不明だが、少なくともここ数年の状況は、住宅ローン破綻する人の<割合>が増えているのであって、住宅ローン破綻する人の<数>が増えているわけではないということだ。
ただ、機構系の長期固定ローンではなく、銀行の変動ローン利用者の破綻は増えているのかもしれない。
縮小に向かう住宅市場において、販売員が購入能力の乏しい人に無理やりローンを組ませている状況が思い浮かぶ。
そのあたりの実態調査を消費者庁あたりに期待したいことろなのだが・・・・・・。


ちなみに、「貸出条件緩和債権」は、平成10年10月の閣議決定に基づき、勤務先の倒産等によるローン返済困難者に対して、設けられた特例措置。
平成21年度の貸出条件緩和債権は、リスク管理債権の約55%を占めている。
もし、この緩和措置がなければ、ローン破たん者は急増していたことだろう。

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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