不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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白抜き表示の販促ワザ

外観CGが描かれたアングル


本日、マンション広告6枚。

【予告広告】大手町駅直通18分、駅徒歩10分。総戸数61戸、7階建。販売戸数/未定、3LDK(69.12m2)〜4LDK(81.22m2)。販売価格/未定。平成23年3月上旬竣工(本チラシ掲載日の9カ月後)。

企業跡地に建つ中規模マンション。


新聞半紙大のチラシのオモテ面には、「水鳥の池」を借景に、豊かな緑に囲まれた本物件の外観CGが描かれている。
「いつまでも どこまでも続く包容緑」がこの物件のキャッチコピーだ。


外観CGの左右に、チラシのデザインのように施された白線。
ボーと見ていると気が付きにくいのだが、隣接する建物の外形をかたどった白線なのだ。
この視認しづらい白線で描かれた二つの建物について、ネットを駆使して調べてみると――
左側(本物件の南側)にある建物は、築9年の7階建・総戸数84戸の分譲マンション。
これでは、南側の日当たりや眺望は期待できない。
また、右側(本物件の北側)にある建物は、築25年の総戸数93戸のワンンルーム賃貸マンション。
と、ここまでは隠ぺい体質的なマンション・チラシにはよく見かけるケースだ。


さらにこの物件の周辺をGoogleストリートビューでチェックしていて、大きな迷惑施設を発見!
この物件の東側に、道路を挟んで大きな送電鉄塔がそびえていたのだ。
この送電鉄塔、チラシの外観CGには、白線でさえ描かれていない。


「いつまでも どこまでも続く包容緑」と謳っておいて、隣接マンションを白抜き表示。
しかも送電鉄塔については、白抜き表示さえなされていない。
不動産公正取引協議会連合会 公正競争規約研究会の編著による『不動産広告の実務と規制(8訂版)』では、このようなチラシは、「白抜き表示と相まって環境についての不当表示となろう」とされていた(109頁)。

宅地又は建物の見取図、完成図又は完成予想図は、その旨を明示して用い、当該物件の周囲の状況について表示するときは、現況に反する表示をしてはならない。
「現況に反する表示」とは、例えば、新築分譲マンションの広告中に、実際には隣地に商店等の建物か立ち並んでいるのに、その部分に樹木を描くような場合である。
この場合に、隣地については何も描かない状態、いわゆる「白抜き」にした表示は直ちに本号の表示基準に違反するものとはいえない。
しかし、絵図以外の表示において、例えば「開放感あふれる住まい」等と表示した場合は、白抜き表示と相まって環境についての不当表示となろう

「8訂版」に記載されていた上記の記載は、「9訂版」「10訂版(最新版)」では削除されている。
白抜き表示の販促ワザは、マンションのチラシ制作者にとってもはや当たり前か。


こうして供給サイドに都合の悪い記述が、『不動産広告の実務と規制』から消えていく・・・・・・。

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