幹線道路沿いに立つ14階建ての小規模マンション。
大手町駅直通16分、駅徒歩12分。総戸数26戸(管理室1戸含む)、14階建。販売戸数25戸、2LDK(57.95m2)〜3LDK(73.39m2)。販売価格2,760万円〜4,420万円。平成18年11月下旬竣工(先月竣工済み)。
- 1フロアに3LDK・73m2超のファミリープランが1住戸のみ。
- 高い独立性と四面開口による快適な住空間が実現しました。
- 住まいの、そしてフロアのオーナーとなり、プライベートビューが楽しめるタワーコートの魅力をぜひご自身の目でお確かめください。
B4サイズの広告オモテ面に描かれた外観CGを見ると分かるのだが、本物件は6階から上は、1住戸を積み上げた「四面開口」が確保されたペンシルマンションとなっている(図参照)。
3LDKで専有面積73.39m2という「ファミリータイプ」の狭さは、いただけないのだが――。
本日はこの狭い敷地に立つ、1フロア1住戸というペンシルマンションの住棟形態について、考察してみよう。
「物件概要」に目を凝らすと、本物件は「建築面積307.83m2」「建築延床面積2,143.23m2」「敷地面積440.18m2」となっている。
これらから「建ぺい率」と「容積率」をそれぞれ計算すると――。
- 建ぺい率=建築面積307.83m2÷敷地面積440.18m2=0.6993 ⇒69.93%< 70%
- 容積率=建築延床面積2,143.23m2÷敷地面積440.18m2=4.8689 ⇒487% >400%
一方、本物件の敷地条件は、「準工業地域」で、建ぺい率70%、容積率400%となっているから、容積率の緩和措置があったであろうことを想像すると、ほぼ敷地条件目一杯で設計されていることが理解できる。
そこで気になるのは、デベロッパーは、なぜ6階より上を1フロアに1住戸しかない住棟形態(5階以下は、1フロア4住戸)として計画したのかということだ。
他の選択肢としては、1フロア4住戸からなる7階建て田の字マンションでも、1フロアに2住戸の14階建てペンシルマンションのいずれでも、本物件と同等の総戸数は確保できるのに。
たしかに7階建て田の字マンションでは、角住戸の割合が少ないが、1フロアに2住戸の14階建てペンシルマンションであれば、角住戸率が100%だし、本物件に比べればエレベーター配置に無駄がない。
デベロッパーが、6階より上が1フロア1住戸という、この変則な住棟形態を選択したのは、隣接マンションへの配慮(制約)からなのか?
あるいは、フロアオーナー(1フロア1住戸)というキャチコピーで、他の物件との差別化を図りたかったからなのか?
いずれにせよ、環境的に恵まれない幹線道路沿いにこのような、専有面積の狭い、不経済なマンションを建てるのはいかがなものかと思う。
(本日、マンション広告1枚)