高層マンション居住が子育てに与える影響研究の第1人者である織田正昭先生が、『高層マンション子育ての危険―都市化社会の母子住環境学』を上梓された。
本書の基本スタンスが明快に記されている「はじめに」の一部を紹介しよう。
ただ、私は建築学や都市環境学、児童学などの専門家ではありません。
あくまで私のこれまでの研究成果を基本として、高層マンションにおける子育てを医学、母子保健学の立場から論じたものです。
注意していただきたいのは、この書をもって、高層マンションを何ら否定するものではありあません。
建てる側が悪いのだ、いや買う人がいるから建てるのだ、子供に影響があるから良くない、いやそれは住み方の問題だといった議論に終始してもまったく意味がありません。
建てる側には今まで以上に入居者、特に子供や高齢者の立場に立った一層の工夫・配慮が求められますが、一方で、住む人に対しても住み方、育児の心構えいかんによっては、高層マンションは子供にとって良い育児環境にもなり、悪い育児環境にもなることを警告したいと思います。
この自覚がない人は高層マンションでの育児は勧められません。