不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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港湾隣接地域・海岸保全区域に建つマンションは―

運河に囲まれた敷地に建つ、14階建ての中規模マンション。

大手町駅直通9分、駅徒歩9分。総戸数83戸、14階建。販売戸数未定、2LDK(68.43m2)〜4LDK(104.38m2)。販売価格未定。平成18年9月15日竣工(本チラシ掲載日の8カ月後)。

物件概要をみると「地域・地区」として、準工業地域、準防火地域、第3種高度地区、港湾隣接地域、海岸保全区域と、たくさんの名称が列挙されている。
港湾隣接地域と海岸保全区域というのは、あまり聞かない名称ではないだろうか。
以下に説明しよう。

港湾隣接地域

港湾隣接地域とは、港湾区域を保全するため港湾区域外100m以内の地域内の区域について指定された港湾区域内および港湾区域に隣接する地域のこと(港湾法37条2)。
港湾管理者は、港湾の利用・保全・計画遂行に著しく支障を与えるものを許可してはならいないことになっている。
本物件は、港湾管理者によって、この港湾隣接地域での設置が許可されたことになっているといった、程度の理解でよろしいかと。

海岸保全区域

海岸保全区域とは、海または地盤の変動による被害から海岸を守るために、海岸法に基づいて指定された区域のこと。
平成12年5月16日の3省(農林通産大臣・運輸大臣・建設大臣)の告示「海岸保全区域等に係る海岸の保全に関する基本的な方針」に具体的な考え方が示されている。
「(1)海岸の防護に関する基本的な事項」の中に、重要な情報が書かれているので少々長いが、以下に抜粋する。

(1)海岸の防護に関する基本的な事項
(前略)
潮位に比して背後地の地盤高が低いゼロメートル地帯等の地域や三大湾を始めとする背後に人口・資産が特に集積した地域にあっては、過去の高潮や津波による災害を十分勘案し、必要に応じ、より高い安全を確保することを目標とする。
津波、高潮対策については、施設の整備によるハード面の対策だけでなく、適切な避難のための迅速な情報伝達等ソフト面の対策も併せて講ずるものとする。
特に、過去に甚大な津波災害を受けたり、今後もその可能性が高いと考えられる地域、及び高潮災害に対する危険性が高いと考えられる地域については、堤防、津波防波堤等の海岸保全施設の整備だけでなく、危機管理の観点から、地域と協力した防災体制の整備や避難地の確保、さらに、土地利用の調整等のソフト面の対策も組み合わせた総合的な対策を行うよう努める。
(後略)

海岸保全区域は、軟弱地盤地域やゼロメートル地帯であることの認識が必要であり、マンション選びの際には注意を要するだろう。

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2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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