金曜日、マンション・チラシ5枚。
- 2月25日(金)の物件と同じ。
大手町駅直通17分(快速利用)、駅徒歩16分。総戸数619戸、20階×3棟+15階×1棟。販売戸数25戸、3LDK(70.21m2〜85.60m2)。販売価格2,698万円〜3,998万円。平成18年5月下旬竣工(本チラシ掲載日の1年1カ月後)。
新聞全紙サイズのチラシの両面に、マンションの外観図だけでなく、アクアガーデン、アスレチック広場、バーベキューガーデンなどの屋外施設やラウンジ、エントランスホールなどの内観図など、CGのてんこ盛りだ。
でも、なぜかゲストルーム、フィトネススタジオ、ヒーリングルームだけは実写。写真の右下隅に「当社施工例」と注記されている。
「物件概要」をよく読むと最後に、「ゲストルーム(○○平成15年1月竣工、販売済み)とフィトネススタジオ(△△平成16年2月竣工)とヒーリングルーム(□□平成16年9月竣工)の写真は当社施工例であり、本物件とは直接関係ありません」との断り書きがある。
なぜ、ゲストルーム、フィトネススタジオ、ヒーリングルームだけ、CGでなく、あえて自社の施工例の写真を掲載しているのか?
「本物件とは直接関係ありません」との注釈があることで、かえって疑念を抱いてしまう。
デベロッパーが共用施設の施工例(=施工実績)の写真を掲げる狙いとしては、次の2つが考えられる。
- 自社マンションの施工実績が豊富である(=安心できるデベロッパーである)ことのプラス・イメージを消費者に刷り込もうとしている。でも、CGで描かれたパーティルームやライブラリーについては、逆に施工実績が少ないないことを露呈してしまっていないだろうか。
- 自社の他物件にも同様の共用設備があるという事実を示すことで、消費者の横並び意識(=安心感)に訴えようとしている。でも、先行事例が、必ずしも安心材料とはならないことに、注意が必要だ。
ちなみに、不動産の表示に関する公正競争規約の平成12年の改正によって、「建物の内部写真であって、写真に写される部分の規模、形質等が同一のもの」で、「当該写真が他の建物のものである旨を写真に接する位置に明示」すれば、当社施工例を掲載することができるように緩和された。
でも、当社施工例として掲載可能なのは、写真に写される部分が「同一」であることが条件だ。
大辞林(第二版)によると「同一」とは、
- 同じであること。別のものでないこと。また、そのさま。
- 等しいこと。差のないこと。また、そのさま。
このように「同一」であることのハードルは限りなく高いので、そうたやすく「当社施工例」を掲載することはできないはずだ。
いずれにせよ、CGではなく、わざわざ「当社施工例」写真を掲載することで、消費者を惑わすことができるデベロッパーサイドのメリットはあっても、消費者サイドのメリットはなさそうだ。