不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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スパ利用料1回100円でやっていけるか?

大手町駅直通24分、駅徒歩10分。総戸数863戸、20階建×2棟+16階建+13階建+14階建。平成16年7月26竣工済み(2ヶ月前)。

竣工2ヶ月が経過して、キャンセル17戸の販売チラシ。どのような理由でキャンセルされたのかは不明だが、結果的にスパ付きマンションを購入しなかったのは正解かもしれない。
露天風呂、白湯、ジェットバス、リラクゼーションバス、遠赤外線サウナ、湯腰掛け、水風呂、掛湯など、「和・洋、計16種類のお風呂が用意されている」
大浴場が、遠からず不良資産化することについては、すでに7月23日に記した。今回はもう少し具体的に確認してみよう。

チラシでは、「スパ利用料が1回100円(12歳以下が50円)」となっている。
東京都の入浴料金は、平成12年度以降次のように据え置かれている。

  • 大人(12歳〜)400円
  • 中人(6〜12歳)180円
  • 小人(〜6歳)80円

都の入浴料金400円に対して、本件のスパ100円の安さは突出している。
経営環境が厳しくて、お風呂屋さんの転廃業が続出しているというのに、はたしてマンション・スパは、うまくやっていけるのだろうか?
ちなみに、東京都内の公衆浴場利用者数は、H14年度50,761千人、H15年度48,391千人と減少に歯止めがかかっていない。平成16年9月1日現在の都の人口が12,450,603人だから、一人当たり、年間4.2回(=5,000万人÷1,200万人)銭湯を利用していることになる。
意外と多い気がするが、風呂のないアパート暮らしの学生や銭湯に昔ながらのコミュニケーションを求めるお年寄りなどの利用が多いのかもしれない。

マンション・スパには、受託者が経営努力するようなインセンティブがあるのだろうか?入浴料100円の収入で水道光熱費が賄えないようになると、サービスの低下だけでなく、やがて管理費からの補填、あるいはスパの廃止ということになる。
気になったので、現状のサービス内容について、電話取材してみた。

  • 筆者「スパは24時間利用できるのでしょうか?」
  • 男性販売員「平日は16時〜23時、土日と祝日は8時〜12時と16時〜23時です」
  • 筆者「365日利用できるのでしょうか?」
  • 男性販売員「毎週月曜日が定休日で、和風・洋風風呂を男女で入れ換える作業をします」
  • 筆者「浴槽のお湯は、そのときに換えるのですか」
  • 男性販売員「浴槽のお湯は毎日入れ換えます」
  • 筆者「番台のような受付はあるのでしょうか?」
  • 男性販売員「スイカのようなオーナーズ・カードで入室管理をしています」
  • 筆者「ということは、特にその場で管理している人はいなくて、機械で管理しているのですね」
  • 男性販売員「そうです。無人です」

ICカードの導入によって管理経費は削減されているが、水道光熱費や毎日の浴槽清掃などの維持管理費は銭湯同様に確かにかかっている。
番台に人がいないのは結構だが、人知れず浴室で倒れた場合に、迅速に救命してほしい。

(本日、マンション広告10枚)

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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