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「地震保険世帯加入率」は低いのに、「耐震化率」は高い県はどこか?

1月16日の朝日朝刊1面トップに、住宅の耐震化が予定通りに進まないことを伝える記事。

耐震化率もさることながら、地震保険の加入率はどうなのか?

両者を可視化することで興味深いことに気づく。


もくじ

進まぬ住宅耐震化(朝日1面トップ)

進まぬ住宅耐震化(朝日1面トップ)

41都道府県が期限の15年度までの達成は困難だったと答えたという。

進まぬ住宅耐震化 期限で達成、41都道府県が「困難」

47都道府県が2006~07年度に掲げた住宅の耐震化率を引き上げる目標について朝日新聞がアンケートしたところ、41都道府県が期限の15年度までの達成は困難だったと答えた。うち19道府県は15年度の耐震化率推計で達成に至らず、22都県も13~14年度推計で達していなかった
(中略)
達成困難の理由(複数回答)では、「耐震改修費の高さ」(32都道県)が最多。「高齢・単身世帯が増え、リスクを負っても構わないととらえている」(22府県)、「地震が起きるという実感が広がらない」(19県)などが続いた。(以下略)

(朝日新聞 1月16日)

達成困難の理由(複数回答)のうち、2番目に多い「高齢・単身世帯が増え、リスクを負っても構わないととらえている」がなんとも哀しい。

 

耐震化率 都道府県TOP10

ちなみに、耐震化率TOP10は次のとおり。

東京都(83.8 %)10位で、ぎりぎりランクイン。

ここは小池都知事が都知事選で掲げた公約どおり、「住宅の耐震化・不燃化を2020年までに加速させる」を確実に実施してほしいものだ。

  • 1位:神奈川県(89.0 %)
  • 2位:千葉県(87.0 %)
  • 3位:北海道(86.5 %)
  • 4位:愛知県(85.8 %)
  • 5位:兵庫県(85.4 %)
  • 6位:山梨県(85.4 %)
  • 7位:沖縄県(85.1 %)
  • 8位:埼玉県(84.0 %)
  • 9位:宮城県(84.0 %)
  • 10位:東京都(83.8 %)

 

耐震化率もさることながら、地震保険の加入率はどうなっているのか?

宮城県の「地震保険世帯加入率」はダントツだが・・・

日本損害保険協会のホームページに公開されている「地震保険 都道府県別世帯加入率の推移」データ(PDF:140KB)をグラフ化したのが次の図。

東日本大震災の被害が大きかった宮城県の加入率が11年度から12年度にかけて急増していることが分かる。でも、その後は増加せず約5割にとどまっている

70年代から東海地震の発生が予想されている愛知県の加入率は、他県に比べて高く、漸増している。

都道府県別「地震保険世帯加入率」の推移

 

沖縄県は「地震保険世帯加入率」が全国で2番目に低いのに、「耐震化率」は高い

各都道府県の「耐震化率」(朝日新聞のデータ)と「地震保険世帯加入率」(日本損害保険協会のデータ)を整理したのが次の表。

日本損害保険協会のデータ
 

さらに上表を可視化したのが次のグラフ。

このグラフから、いくつか興味深い特徴が読み取れる。

「耐震化率」と「地震保険世帯加入率」の関係

最初に気付くのは、耐震化率80%ラインで、西地域と東地域が分かれているように見えること。耐震化率80%未満は西地域に多い傾向が見られるのだ。

2つ目は、東日本大震災の被害が大きかった宮城県と、70年代から東海地震の発生が予想されている愛知県の「地震保険世帯加入率」が高いことだ。

3つ目は、昨年の熊本地震で大きな被害を受けた熊本県の「耐震化率」が低いこと。

4つ目は、沖縄県は「地震保険世帯加入率」が全国で2番目に低いのに、「耐震化率」は85.1%と高いことだ。 沖縄県の住宅は、木造(4.5%)よりも鉄筋コンクリート造(92.7%)が圧倒的に多いことが影響しているのであろう。( )内数字は、「平成25年住宅・土地統計調査」による。

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