ネットでは数多くの「民泊」情報が飛び交っている。
国や自治体、民泊コンサルやAirbnbなどが発信している情報が多すぎて、現在何がどうなっているのかよく分からないというあなたのために、6月26日現在の民泊情報をザット整理してみた。
- 国の動き:「『民泊サービス』の制度設計のあり方」まとまる
- 自治体の動き:民泊の規制緩和に抵抗する自治体が多数
- 業界の動き:旅館ホテル業界vs賃貸業界 ⇒賃貸業界の負け?
- 民泊の広がり:Airbnb登録件数の増加にブレーキ?
- 民泊の苦情対応:Airbnb窓口vs「民泊ポリス」
国の動き:「『民泊サービス』の制度設計のあり方」まとまる
厚労省と国交省が主催してきた「『民泊サービス』のあり方に関する検討会」は6月20日、「『民泊サービス』の制度設計のあり方について(最終報告書案)」を取りまとめた。
※6月22日に最終報告書(案がとれた)が公開された。
同報告書をもとに、年度内に民泊新法や改正旅館業法が施行される予定。
ただ、6月25日の日経は、「民泊新法の提出前倒し検討 政府、秋の臨時国会に」とあるので早まる可能性あり。
自治体の動き:民泊の規制緩和に抵抗する自治体が多数
国の民泊推進の思いとは裏腹に、自治体ベースでは規制緩和の動きは鈍い。
「民泊待った!条例」を可決した台東区や、”民泊NO!”の方針を打ち出した軽井沢町など、国の方針に抗う自治体が出てきている。
とりわけ観光都市の京都市は、違法民泊に対して強い警戒心を示しており、「民泊実態調査」の実施や「民泊110番」の開設、自治体の裁量を求める要望書を国に提出するなど、具体的な行動に出ている。
業界の動き:旅館ホテル業界vs賃貸業界 ⇒賃貸業界の負け?
賃貸業界は圧倒的な政治力を利用して、「民泊サービスの制度設計」において、「家主不在型」の民泊については「住宅提供者が管理者(=宅建業者)に管理を委託すること」を押し込むことに成功。
ところが、「民泊の制度設計のあり方について(最終報告書)」では、宿泊サービスの年間提供日数を「半年未満(180日以下)の範囲内で適切な日数を設定する」というようにキャップがはめられた。賃貸業界にとっては厳しい結果となっている。
民泊の広がり:Airbnb登録件数の増加にブレーキ?
全国のAirbnb登録件数は約3万8千件
全国でAirbnbに登録されている物件は全部で約3万8千件(6月20日現在)。そのうちの4分の3が1都2府の物件である。
建物タイプ別にみると、マンション・アパートは全体の約7割を占めている。一軒家は約2割に過ぎない。
これらの数値を踏まえると、都市部のマンションにおける民泊問題の解決に注力する必要があることが分かる。
全国のAirbnb登録件数は初の減少、中国版Airbnbは増加中
大阪府警による違法民泊の摘発や、大阪地裁がマンションでの民泊を禁じる初の司法判断を下したこと、京都市長が「民泊110番」を開設すると議会で答弁したこと、それから今後制定される”民泊新法”に罰則規定が盛り込まれること、等々違法民泊に対する逆風が強まってきたことから、一部の素人大家さんが民泊から撤退し始めた模様。
Airbnbの登録件数が初の減少に転じる一方で、中国版Airbnbのほうは増加中。特に大阪での増加が著しい。
民泊の苦情対応:Airbnb窓口vs「民泊ポリス」
Airbnb日本法人の代表を務める田邉氏は、「シェアリングエコノミーが拡大していくためには、地域社会との共存は欠かせない」として、Airbnbホストの近隣住民から苦情や意見を受け付ける窓口を設置すると公言(16年3月14日「規制改革会議公開ディスカッション」での発言)。
筆者が実際に同窓口を利用したみたところ、Airbnbは受け付けたクレームをホストに伝えて終わりという、なんとも残念な窓口であることが分かった。
現状では「違法民泊の監視は「近隣住民・宿泊者等からの通報」に頼らざるを得ない? 」ような状況にある。
そのようなニーズをとらえたIT企業が「民泊ポリス」なる違法民泊追放サービスの試験運用を開始している。