つくばエキスプレスの某駅前大規模開発の一画に建設中の、3棟からなる大規模マンション。
物件概要
【先着順】秋葉原駅直通25分(通勤時の通快利用)、駅徒歩3分。総戸数257戸(A棟79戸、B棟80戸、C棟98戸)、11階建。販売戸数14戸(A棟6戸、C棟8戸)、2LDK(58.86m2)~4LDK(80.33m2)。販売価格3,488万円~4,898万円。平成27年7月下旬竣工(本チラシ掲載日の6カ月後)。
新聞半紙大のチラシのオモテ面は、とってもユニーク。
A棟とC棟の各住戸の契約状況と、今回の販売住戸の価格が表示されているのだ。
販売住戸の価格と全住戸の契約状況が可視化されたチラシ
マンション・チラシの定点観測を続けて10年あまり。このように販売住戸の価格と全住戸の契約状況が可視化されたチラシが”観測”されたのは数回しかない。
それくらい珍しいチラシなのだ。
売主にとって、契約状況や各住戸の販売価格は出来るだけ知られたくな情報だ。
このチラシのように契約状況を知らせてしまうのは、バラと「済」のマークがたくさんついて「このマンションは売れていますよ」というプラスイメージが打ち出せる場合に限られるのだろう。
で、開示された各住戸の販売価格を見ていて興味深いことに気がついいた。
どの住戸も価格の末尾が「8」だぞ!
「4,238万円」「4,488万円「4,238万円」といったように、どの住戸も価格の末尾が「8」なのだ。
価格を決めるための代表的な方法としては次の3つがある。
(心理的価格決定法(GloBalance Co.,Ltd)から)
- 端数価格設定法:500円や1,000円といった切りの良い数字ではなく、498円、980円など端数の付いた価格に設定する方法。端数にすることで、割安感を演出する手法。
- 威光価格設定法:消費者の知覚する同じカテゴリーの商品・サービスの価格より高めに価格を設定する方法。「価格が高いものは、品質も良いはずである」「価格が高いものを持っていること自体でステータス(高い社会的地位や身分)になる満足感を味わえる」といった心理的効果をねらって価格を設定する。
- 慣習価格設定法:同じカテゴリーの商品・サービスの価格として定着している価格(慣習価格)と同じ価格に設定する方法。例えば、自動販売機の缶入り清涼飲料水は、現在、メーカー・種類に関わらずほとんどの商品が120円に設定されている。
このマンションの値付けは、「端数価格設定法」によるもの。末尾が「8」なのは、漢字にしたときの「八」が末広がりで縁起が良いとされるからなのだ。
ちなみに、米国では9とか99、ロシアは5の数字が好まれ、ドイツでは55、66、88のようなゾロ目が好まれているらしい。
さて、平成28年4月1日、消費税が8%から10%へ引き上げられる予定である。このマンションが竣工するのは平成27年7月下旬。
仮にこのマンションが平成28年4月1日以降も売れ残っていたとしたら、建物本体にかかる消費税増分の扱いはどうなるか(土地には消費税がかからない)。
消費増税ぶんだけ販売価格を値上げして末尾の「8万円」という数字を変えてしまうのか(「〇.49万円」なんて縁起の悪い数字になったりして)、それとも消費増税分は売主が飲み込みんでしまうのか、気になるところだ。
(本日、マンション広告4枚)