東日本不動産流通機構は3月10日、「月例マーケットウオッチ・サマリーレポート」(2026年2月度)を公表した。
以下では、同レポートおよび過去データを用いて、首都圏中古マンション市場で今、何が起きているのかを整理する。
中古マンション:首都圏概況(2026年2月)
- 成約件数:前年同月比+2.1%(16か月連続増加)
- 成約㎡単価:前年同月比+8.2%(70か月連続上昇、前月比▲1.6%)
- 成約価格:前年同月比+9.5%(16か月連続上昇)
- 専有面積:前年同月比+1.2%(2か月連続で拡大)
- 在庫件数:前年同月比▲0.2%(7か月連続減少)
数字を並べるだけでは市場の輪郭は見えにくい。以下では「価格」「取引量」「在庫」の3点から、構造的に確認する。
① 首都圏全体|価格上昇と取引量の維持
成約単価
首都圏の中古マンション成約単価は、2019年前後から明確な上昇トレンドを維持している。2020年春の一時的な調整を挟んだものの回復は早く、その後も上昇基調は継続してきた。
2026年2月の成約単価は85.61万円/㎡。高値圏での推移が続いている。

(新築マンションの発売単価は不動産経済研究所データによる)
成約件数
価格だけでなく取引量も高水準である。
2026年2月の成約件数は4,241件。長期推移の中でも、2月としては比較的高い水準に位置する。

前年同月比は2025年以降プラスが続いており、2026年2月も+2.1%と増加を維持している。

在庫件数
在庫は2024年前後を境に減少傾向へと転じている。
価格上昇と取引量の維持が同時に成立し、在庫は減少する。この組み合わせは、足元の需給が引き締まり方向にあることを示している。

② 1都3県|東京都への集中
成約単価
1都3県の中では、東京都の価格水準が他県を明確に上回る状態が続いている。
2026年2月の東京都の成約単価は119.77万円/㎡。神奈川・埼玉・千葉との差は長期的に拡大してきた。

成約件数
取引量でも東京都の存在感は大きい。
2026年2月の東京都の成約件数は2,227件。首都圏全体の約半数を占めている。

③ 23区|都心3区で現れた需給の変調
成約単価
23区内ではエリアごとの価格差が拡大している。
都心3区(千代田・中央・港)の成約単価は232.90万円/㎡。他エリアとは異なる角度で上昇を続けている。

- 都心3区:千代田、中央、港
- 城西地区:新宿、渋谷、杉並、中野
- 城南地区:品川、大田、目黒、世田谷
- 城北地区:文京、豊島、北、板橋、練馬
- 城東地区:台東、江東、江戸川、墨田、葛飾、足立、荒川
成約件数
高価格帯にもかかわらず、都心3区の成約件数は大きく落ち込んでいるわけではない。流動性は一定程度維持されている。

在庫件数
ただし在庫には変化がある。
23区全体では在庫減少が続く中、都心3区のみ2025年春以降に在庫が増加方向へ転じている。
価格上昇が先行したエリアで、物件の滞留や購入層の選別が始まっている可能性がある。

★まとめ|強い市場の中で現れた局地的変化
- 首都圏全体:価格上昇と取引量維持が同時に成立。在庫は減少し、需給は引き締まり方向。
- 東京都:単価・件数ともに高水準で推移し、首都圏市場の中心である構図は変わらない。
- 都心3区:価格は上昇する一方、在庫は反転。需給の温度差が生まれ始めている。
現時点でこの変化は局地的なものにとどまる。ただし、価格上昇が先行したエリアで在庫が増え始めた点は、市場内部の変化として注視すべき動きである。
この動きが価格や取引量にどのように波及するのか。今後の月次データの推移が重要な観測点となる。
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