東日本不動産流通機構は5月13日、「月例マーケットウオッチ」(2026年4月度)を公表した。
以下では、同レポートおよび過去データを用いて、首都圏中古マンション市場で今、何が起きているのかを整理する。
中古マンション:首都圏概況(2026年4月)
- 成約件数:前年同月比-1.2%(24年10月以来18か月ぶりに減少)
- 成約㎡単価:前年同月比+5.9%(72か月連続上昇、前月比-0.5%)
- 成約価格:前年同月比+5.4%(18か月連続上昇)
- 専有面積:前年同月比-0.5%(4月ぶりに減少)
- 在庫件数:前年同月比+2.7%(2か月連続で増加)
今月の変化点は「価格」ではなく「在庫」である。価格上昇は続いている一方、在庫は増加へ転じ始めており、需給構造には小さな変化が現れ始めている。
① 首都圏全体|価格上昇継続と在庫反転
成約単価
首都圏の中古マンション成約単価は、2019年前後から明確な上昇トレンドを維持している。2020年春の一時的な調整を挟んだものの回復は早く、その後も上昇基調は継続してきた。
2026年4月の成約単価は85.93万円/㎡。高値圏での推移が続いている。

(新築マンションの発売単価は不動産経済研究所データによる)
成約件数
価格上昇局面にもかかわらず、取引量は高水準を維持している。
2026年4月の成約件数は3,903件。長期推移の中でも、4月としては高めの水準に位置する。

ただし、前年同月比では2024年11月以降続いていたプラス基調が途切れ、2026年4月は-1.2%となった。

在庫件数
最も注目すべき変化は在庫である。
首都圏の在庫件数は、長期的には高止まり圏で推移してきたが、2025年後半以降は増加方向への動きが目立ち始めている。
前年同月比では2か月連続で増加しており、これまで続いてきた「価格上昇+在庫減少」の局面に変化が生じ始めている。

② 1都3県|東京都への集中は継続
成約単価
1都3県の中では、東京都の価格上昇が引き続き突出している。
2026年4月の東京都の成約単価は122.68万円/㎡。神奈川・埼玉・千葉との差は、直近数年で一段と拡大した。

成約件数
取引量でも東京都への集中は続いている。
2026年4月の東京都の成約件数は2,008件。首都圏全体の約半数を占める水準である。
一方、神奈川・埼玉・千葉は横ばい圏で推移しており、価格・流動性の両面で東京都への集中構造が強まっている。

③ 23区|都心3区で先行する需給変化
成約単価
23区内ではエリア間の価格差がさらに拡大している。
都心3区(千代田・中央・港)の成約単価は243.34万円/㎡。2023年以降、他エリアとは異なる角度で上昇している。

- 都心3区:千代田、中央、港
- 城西地区:新宿、渋谷、杉並、中野
- 城南地区:品川、大田、目黒、世田谷
- 城北地区:文京、豊島、北、板橋、練馬
- 城東地区:台東、江東、江戸川、墨田、葛飾、足立、荒川
成約件数
価格上昇が続く中でも、都心3区の成約件数は大きく崩れていない。
高価格帯でありながら一定の流動性が維持されており、需要自体が消失している状況ではないことが分かる。

在庫件数
一方、在庫には明確な変化が現れている。
23区全体では在庫の大幅増加は確認できないが、都心3区では2025年後半以降、在庫増加が鮮明化している。
価格上昇が最も急だったエリアで、先行的に需給バランスが緩み始めている可能性がある。

★まとめ|価格上昇局面から「在庫観察局面」へ
- 首都圏全体:価格上昇は継続。ただし在庫は増加へ転じ始め、需給には変化の兆候。
- 東京都:単価・件数ともに高水準を維持し、市場集中が続いている。
- 都心3区:価格上昇が続く一方、在庫増加が先行。需給調整の兆候が現れ始めた。
現時点で市場全体が失速している状況ではない。価格・取引量ともに高水準を維持している。
ただし、これまで続いてきた「価格上昇+在庫減少」という構図には変化が見え始めている。特に都心3区の在庫反転は、需給転換の初期シグナルとして注目される。
今後の焦点は、この在庫増加が局地的な現象に留まるのか、それとも首都圏全体へ波及するのかである。月次データの継続確認が必要となる。
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