第204回 国会参議院「国土交通委員会」において4月6日、青木愛議員(立憲民主・社民)により「羽田新ルート」関連の質疑があった。
ネット中継録画をもとに、テキスト化(約7千200文字)しておいた。
※以下長文。時間のない方は「質疑応答のポイント」と最後の「雑感」をお読みいただければと。
- 青木:新ルートの本来の目的は、観光産業の振興、インバウンドの拡大・・・
- 赤羽:国際競争力強化等の実現と首都圏全体での騒音負担の共有
- 青木:目的というのは、やはりインバウンド拡大、国際競争力強化・・・
- 赤羽:事実として、この二本柱の改善
- 青木:私が問題視をしているのは、トップとしての赤羽大臣の発言
- 委員長:質問ですか?
- 青木:はい
- 赤羽:首都圏全体で等しくシェアという中での新飛行経路の決定に至った
- 青木:国際競争力の強化とインバウンド拡大(略)、新ルートを決めたんじゃ?
- 赤羽:相当長いプロセス、政府として新ルートを決めさせた
- 青木:千葉県のためにやったんだっていうことは言って頂きたくないんです
- 委員長:回答を求めますか?
- 青木:はい
- 赤羽:細かいことは局長から
- 航空局長:千葉県が求めておられる抜本的な騒音軽減策の第一歩という理解
- 青木:新ルートの設定、政府による国際競争力強化、インバウンド拡大・・・
- 赤羽:(首都圏全体での騒音共有は)厳然とした新経路の理由です
- 青木:都民、千葉県民の心情を分断するような発言、トップの方にして頂きたくなかった
- ★雑感★
青木愛 参議院議員(立憲民主党、2期、元テレビタレント・歌手、千葉大院卒、55歳)
青木:新ルートの本来の目的は、観光産業の振興、インバウンドの拡大・・・
立憲民主党・社民の青木愛です。まず、羽田空港の新飛行経路についてお伺いをいたします。
羽田空港の新飛行経路を設定した目的をここで確認をしておきたいと思います。
昨年の3月29日にその運用が開始され、1年が経過をいたしました。
そして、赤羽大臣が本年3月24日の本会議におきまして、新飛行経路を導入した背景について、国際競争力の強化等の観点からということと、千葉県および関係市町から騒音影響の軽減について継続的な要望があったというこの2点を挙げて説明をされました。(※参院本会議、赤羽大臣「千葉県への騒音軽減等の観点」参照)新飛行経路が千葉県への騒音低減の観点から導入したものであるということをこの本会議の中で2回発言をされております。この新飛行経路の運用が、まるで千葉県の要望により実現したものだという印象を私は受けました。
この新ルートの運用開始については、東京や神奈川、また埼玉県など20以上の反対団体が発足をし、国交省への苦情と問い合わせ、開始5か月間で4600件にも上ると伺っています。
こうした関係者のみならず、東京都民、区民の皆様、また千葉県民、こうした大臣の発言を聞きますと、この騒音被害や落下物の危険性が千葉県のせいではないかと考える人が出てくるのではないかと、少なからず私は、千葉県にもまた、東京北区の上空を(新ルートが)通るようになりましたんで、ともに(私の)地元でありまして、その間に居るものとしても、ちょっとこれはこのままにしておけないなという思いがいたしまして、今日また質問をさせて頂いているのですけれども。
この新ルートの本来の目的は、やはり観光産業の振興、インバウンドの拡大、オリンピック対策などで、羽田空港の発着容量の拡大による首都圏空港の機能強化、国際競争力強化という、これが目的ではなかったかというふうに思うんですけれども、大臣の答弁を求めたいと思います。
赤羽一嘉 国交大臣(公明党、8期、元三井物産社員、慶大卒、62歳)
赤羽:国際競争力強化等の実現と首都圏全体での騒音負担の共有
これは国土交通省単独で新ルートを決めたわけではございませんで、長年にわたって首都圏空港の強化ということで、東京都や地方自治体、関係者の会議体で決められたことでございます。
私、別に勝手に自分でそうした解釈を講じた訳じゃなくて、厳然としたこうしたペーパーにも二つの目的というのがありまして、国際競争力強化等の実現ということが一つの柱。
もう一つは、首都圏全体での騒音負担の共有というのが、これはもう明確になってるんです。ですから、私はそのことに基づいて発言をさせていただいたということでございます。
現実にこれまでの経路というのは、羽田空港への全ての着陸機は原則として全て、千葉県上空を飛行しておりまして、これは羽田空港の容量拡大するということも、全て千葉県の騒音の負担が増加するという、そういう構造になっていて、ここについては、首都圏空港機能強化の具体化に向けた協議会の発足より10年ぐらい前から、千葉県および関係市町から、首都圏全体で騒音問題を共有するという理念の実現に向けて努力をするべきだということは強くご要望頂いてきたってのは、これはもう事実でございます。そうしたことを受けて、冒頭申し上げましたが、この首都圏空港機能強化の具体化に向けた協議会、平成26年に第1回の協議会が発足を致しましたが、この第1回の協議会でも千葉県の出席者から、羽田空港の機能強化にあたっては、さらなる騒音負担が発生しないことを求めるといった意見表明もございましたし(筆者注:千葉県 諸橋省明副知事、千葉市 藤代謙二副市長)、第5回の協議会では新飛行経路の運用については、千葉県および千葉市からは首都圏での騒音共有の第一歩として評価するという旨のご発言(筆者注:千葉県 髙橋渡副知事、一橋大学大学院経営管理研究科 山内弘隆特任教授)もあったところでございます。
そうしたことも踏まえて、私はそれは当然、千葉県として当然の主張だというふうに思っておりますし、別に千葉県のそういったことに対して、都民の皆さんから恨みを買うってこと自体が少し、いささかおかしな話なんではないかなというふうに思いますし、そうしたことが、もしそういうことがあるんであれば、そうではないんだという、新飛行ルートの目的というのはもともとこうした2つの柱をどう改善するかということで行ってきたということは丁寧に説明させていただきたいと、こう思います。
青木:目的というのは、やはりインバウンド拡大、国際競争力強化・・・
これまでの様々関係者の方々の議論の経過は伺っております。ただ、その2本の柱、2本の論点を2つに並べて主張されるのは、やはりトップ、国交大臣の発言としてどうなのかなというふうに思います。
東京都民がそういう感情を抱くことがおかしいというふうに仰られますが、果たして本当にそうでしょうか。本会議場には、全国の、全地域のあらゆる関係団体の代表の方々が、そこで大臣の答弁を聞いているわけです、伺っているわけなんですが、やはり千葉県の要望に応えて、今回の新ルートが設定されたということになろうかというふうに思います。
千葉県の騒音軽減対策について、国交省としてこれまで取り組んでいただいていることは承知をしており、今回のレクでも色々と計算をして、南風時、北風時、色々な風向きによって様々、ちょっと計算をして統計とってもらったところ、1日あたり29便、29便、千葉の上空が削減されているということで伺いました。
ただ、それであっても、羽田空港着陸全体に占める割合が5%にも満たない。およそ5%という、まだ数字なんですね。だから騒音軽減対策としても、まだこうした状況であるという事実もまた踏まえていただきたいし、やはり今回の赤羽大臣の発言は、やはり千葉県民、そして東京都民、特に大田区、品川区、それから渋谷区、新宿区辺りですか、高度を下げてくるのが、そして私の地元である北区も上空を通るようになっておりますので、そうした区民の感情と、それから千葉県民のそういう心情の間に、やっぱり分断を生じかねない、私は発言だというふうに思います。
千葉県は騒音軽減の要望はもちろんさせていただきました。これも国の施策によって、千葉県上空を飛行経路を設定されてるわけなので、騒音対策について要望するのは当然のことだろうというふうに思います。ただ、千葉県側として騒音軽減を要望したのであって、新ルート設定を要望したのではありません。
これまで、北風の時の富津沖、富津沖、これは海の上を通る航空路でありますから、航空ルートですので、こういった対策。あるいは、千葉市の上空をもっと高度を上げて飛ぶようにしていただいたとか、こういうことは騒音軽減に資する対策だというふうに、そこは理解しますけれども、この新ルート、東京都の上空を通るこの新ルートについての要望を千葉県はしているわけではないので、やはりこの新ルート、この目的というのは、やはりインバウンド拡大、国際競争力強化のために新ルート設定をしたというふうに述べていただくのが、やはり政府としての誠実な答弁だというふうに、私は受け止めます。いかがでしょうか。もう一度お願い申し上げます。
赤羽:事実として、この二本柱の改善
お気持ちはよくわかりますが、しかし、事実として、この二本柱の改善ということで議論されてきたっていうのも、これまでのデータも残ってますので、そこは私の、逆の立場から言うと、なんか片っぽだけしか言わないっていうのは、少し、ちょっといささかどうなのかなというふうに思いますし。
ですから、私は事実は事実として述べて、そして、千葉県民のみなさんに何かあらぬ誤解が与えられないように丁寧に説明しなければいけないという、そりゃ仰る通りだというふうに思います。
青木:私が問題視をしているのは、トップとしての赤羽大臣の発言
事実としてというふうに仰るんですけど、私が問題視をしているのは国土交通大臣、トップとしての赤羽大臣の発言だから申し上げているのであります。
本当に千葉県の要望のために、千葉県のためにそうしたんだということであれば、千葉県に対してその旨を内々に仰っていただいて、そして、「まだまだ5%だけれども、これからまた富津沖だとかちょっと高度を上げるとか、更なる改善に資するように頑張る」と、そういうふうに申していただくのが千葉県に対する赤羽大臣であり、国交大臣トップとしてのご発言であるべきではないかなというふうに思います。
江崎孝委員長(立憲民主党、2期、元自治労中央本部特別執行委員、法政大卒、64歳)
委員長:質問ですか?
(いまのは)質問ですか?質問?
青木:はい
はい。ご答弁お願いします。
赤羽:首都圏全体で等しくシェアという中での新飛行経路の決定に至った
べつに私1人で、1代でやってるわけでなくて、代々の大臣なんですけど。
先ほど申し上げましたが、令和元年の第5回の協議会で、これもちろん千葉県の皆さんも入っての協議会でございますが、新飛行経路の運用については、千葉県および千葉市から首都圏での騒音共有の第一歩として評価する旨の評価があった、発言があったということでございます。
ですから、仰るように率はまだまだ低いけれども、ようやく端緒が開かれたということのご発言があったというふうに承知をしてるところございますので、これはそうしたことで、今後、更なる対応どうしていくのかということを考えなければいけないですし、私自身は、この新経路、やはり都心の上を飛ぶということについて、様々なご意見、ご批判もありますし、私ごとでありますが、私の実家の上というのは一番うるさいような新宿区のところであって、私の母校の小学校にも、(騒音)計測機械が付いてるような、そういったターニングポイントのとこでありますが、実際そうしたお困りになられてる方もいらっしゃるので、いま省内の中に、有識者(会議)を開いて選択肢を増やすための、海上での入れるルートってのはないのかということは、検討会は立ち上げさせて頂いておりますので、決してこれで決め打ちをするということは、私自身はそう思っておりませんが、これまでの長い経緯の中で首都圏の空港機能を強化しなければいけない。その裨益される部分と、なんちゅうか騒音とか、様々なリスクに対するご迷惑を与えられる部分、これはやはり首都圏全体で等しくシェアをしていこうという中での新飛行経路の決定に至ったものというふうに、私はそういうふうに承知をしてるところでございます。
青木:国際競争力の強化とインバウンド拡大(略)、新ルートを決めたんじゃ?
いま、「支援していこう」って仰いましたけれども、そういうことではなくって、何て言ったらいいんでしょうね、千葉県民のことだけを考えて、じゃあ東京都民の航路になった区民の意見は聞かないのかという話も出てくるでしょうし、ようは「支援をしていこう」ではなくて、なんでしょうね、競争力強化ということ、オリンピックもありましたけれども、インバウンド拡大という政府の方針があって、政府としての方針があって、そこを負担をかけているという、そういう立場でいて頂きていただきたいのです。
だから政府が決めてることなんですよ、新ルートは。えっ、そうではないんですか?
政府が国際競争力の強化とインバウンド拡大しなければならないから、新ルートを決めたんじゃないんですか。
赤羽:相当長いプロセス、政府として新ルートを決めさせた
ですから、私は申し上げたのは、東京都とか千葉県とか関係のところには協議会に入っていただいて、様々なご意見をいただいたところ、平成26年からですから、相当長いプロセスがあるんだということでございます。
そうしたことを勘案して、政府として新ルートを決めさせたということでございます。
青木:千葉県のためにやったんだっていうことは言って頂きたくないんです
こればっかり長くなるんですけど、森田健作前千葉県知事が「羽田空港の機能強化の実施決定について」というペーパー、国交省から頂いたんですけれども、羽田空港の機能強化に対して述べてるんですね、森田健作知事が、前知事がですね。
その中に、羽田空港の機能強化策の一つである南風時の新到着ルートの導入などにより、本県の騒音軽減については現在よりも軽減するものと受け止めています、と確かにあるんです。
でも、これは私はおかしいと思っているんです。このタイトルも、羽田空港の機能強化のというタイトルに、なぜ千葉県知事として南風時の新到着ルート、っていうことは今回の新ルートのことなんですけども、新ルートの導入によって本県の騒音影響が軽減したと確かに、前知事はここに言っているんだけれども、このタイトルは、羽田空港の機能強化についてというタイトルなんですね。
千葉県知事とすれば、千葉県の騒音軽減を目的としたものではないんですよね。(私の意図は)伝わりますかね。だから、千葉県の騒音軽減を目的とした、国交省がやってくれた対策とすると、北風の時なんですよ。北風の時の富津沖、海上に、海上ルートに変更してくれた点、それから、千葉市、千葉市の高度を上げてくれた点、ここは本当に千葉県のために騒音軽減影響に対応してくれた。そこは、率直に私はそういうふうに思います。ただ、この南風時の時のこの新しい東京の上を、この新ルート、これについては、これについて千葉県のためにやったんだっていうことは言って頂きたくないんですね。
実際、そうではないと思いますので。はい。何度も申し訳ないけど。
委員長:回答を求めますか?
回答を求めますか? 回答を求めますか?
青木:はい
はい。はい。はい。回答を求めます。
赤羽:細かいことは局長から
ちょっと細かいことは航空局長から補足させますけども、私は森田知事に私どもが無理やり書かせたペーパーではなくて、森田知事から、この表題で頂いたペーパーだというに承知をしておりますので。
森田知事は、「今般の羽田空港の機能強化策の一つである南風時の新到着ルートの導入などにより本県の騒音影響については、現在よりも軽減するものと受け止めています」と書かれているので、そこについて私は、ちょっとその真意云々てことは、私は申し上げる立場でありませんけど、私はこのペーパー見て、森田知事のこのペーパーを見て、それまでの協議会でのさまざまな議論の結果、こうしたペーパーを頂けたんだなというふうに、そういう認識をしております。
ちょっと細かいことは局長から。南風、北風のことは……。
和田航空局長
航空局長:千葉県が求めておられる抜本的な騒音軽減策の第一歩という理解
お答え申し上げます。
委員からご指摘がありました従来の羽田空港への飛行経路の件でございますけれども、南風時には2本の到着経路が千葉市上空で交差をしておりました。この交差点をちょっと郊外の方にずらすことによって騒音軽減をしたとか、それから高度を引き上げたってことをやってきました。
それからご指摘がありました北風時についても、富津沖の海上ルート、これを開始してそちらの比率を高めるといった努力をしてまいりましたけれども、さらに千葉県から言われていることは、より抜本的な騒音軽減策、これが首都圏全体での騒音の共有ということでございまして、そういう意味で新しい飛行経路というのは、まさに千葉県が求めておられる抜本的な騒音軽減策の第一歩という理解でございますので、この新しい飛行経路というのは、そういう千葉県との関係でも非常に重要な意味があるというふうに我々は考えているところでございます。
青木:新ルートの設定、政府による国際競争力強化、インバウンド拡大・・・
長くなりますので、森田健作前知事にこれを書かせたとか、書かせてないとかって、そこは私もそこまでのことを申し訳つもりではなかったのですけれども、いずれにしても、やはり新ルートの設定は、政府による国際競争力強化、インバウンド拡大、これがまず第一義的な目的であったということ、そして、さらに言うとすれば千葉県にこれまで負担をかけていたので、今回、政府の判断で、政府の判断で新ルート設定したんだと。
もっと良い言い方があればと思いますけれども、私が今考えるられる中では、そうした答弁にせめてしていただきたいというふうに思います。
最後、いかがでしょうか。
赤羽:(首都圏全体での騒音共有は)厳然とした新経路の理由です
ちょっと繰り返しなって恐縮なんですけど、従来の飛行ルートで(航空)局長の答弁ありましたが、南風時の到着経路ってのは千葉市の中央区の上空でターンをするということで、相当強いクレームがあったというふうに聞いております。
こうしたことへの問題をどう改善するかということで、これはもう厳然とした新経路の理由ですし、こうしたことっていうのは、何て言うか、首都圏の皆さんの、首都圏の全体での騒音の共有っていうことでありますので、そこは私説明しないと。この新経路に対する説明責任を果たせないんではないかというふうに、私はそう思いますので。
いろんなご意見、ご批判は別に甘受いたしますが、私は国土交通大臣という立場では、そういうふうに発言せざるを得ないと、大変申し訳ないんですけど、そう申し上げありさせていただきたいと思います。
青木:都民、千葉県民の心情を分断するような発言、トップの方にして頂きたくなかった
私といたしますと、やはり東京都民、千葉県民の心情を分断するような発言を国土交通大臣、トップの方にして頂きたくなかったですし、やはりそこはトップとして、十分な住民に対する配慮をしながら発言については慎重にするべきだということは申し上げておきたいと思います。
★雑感★
青木議員の筋悪質問が…
青木議員が羽田新ルート問題を取り上げたことだけは評価できる。
ただ、千葉県の騒音軽減のために首都圏全体での共有という赤羽大臣の発言はトップとしては適切ではないという切り口が筋悪。また、勉強不足なのか、赤羽大臣にいいように切り化されている。
返す刀で鋭く質問できず、自分の立ち位置を見失ったのか、理詰めではなく感情論を展開する場面が何度も見られた。委員長からは「質問ですか?」「回答を求めますか?」との突っ込みを入れられていた。
勉強不足・準備不足のテーマを中途半端に取りあげたこともさることながら、感想と質問の区分が曖昧な参議院議員っていったい……。
青木議員の質問力もさることながら、立憲民主党として羽田新ルートに係るスタンスを明確に打ち出していないから、反対するでもなく、中止を求めるでもない、このような生煮えの質疑をせざるを得なかったのか。
青木議員の筋悪質問は結果的に、立憲民主党が羽田新ルートを容認しているスタンスであるということを浮き彫りにしてしまったのではないか。
赤羽大臣、不都合な真実には触れず
赤羽大臣は、過去の千葉県・千葉市との協議会で騒音共有の話はあったことは事実だと繰り返し述べている。でも、区民を対象とした住民説明会の場では、千葉県民との騒音共有が新ルートの2柱の一つであることは配布資料にも記載されていなかったし、そのような説明がなかったという不都合な真実については全く触れていない。
住民説明会で首都圏全体での騒音共有の説明がなかったことの具体的な証拠を以下に示す。
最後に住民説明会が実施されたのは第6フェーズ(19年11月18日~20年1月27日)(第6フェーズの住民説明会を開催します)。このとき説明会で用いられた資料は、FAQ冊子v6.0だった(第6フェーズの住民説明会においてご説明する内容をお知らせします)。
住民説明会で使用されたFAQ冊子v6.0には首都圏全体での騒音共有の件は記されていなかったし、FAQ冊子v6.1にも首都圏全体での騒音共有の件の記載はなかった。
ところが、国交省が20年1月10日(日付は筆者の独自調査による)に密かにホームページにアップしたFAQ冊子v6.2には、首都圏全体での騒音共有の件が記載されているのである(次図)。その後、FAQ冊子v6.2は更新されていない(21年4月9日現在)。
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