「2020年マンション大崩壊」
派手なタイトルに惹かれて新書を購入。税込842円。
三井不動産で働いていたことがある牧野知弘氏の著書は、基本データを押さえたうえで、実体験や人脈から得たエピソードが書かれている。
本書もそうだが、これまでに読んだ次の2冊も、著書が取り上げているテーマ全体を俯瞰するのに役立った。
本日紹介する「2020年マンション大崩壊」は8月20日に出版された牧野氏の最新刊。
第1章と第2章を読めば、基本データとともに、「マンションの空き家問題」を俯瞰することができる。
- 第1章 「地方」の問題ではなくなった空き家問題
- 第2章 都心ですすむ「マンション空き家問題」
第3章では空き家問題と絡めた「スラム化」、第4章では空き家問題への対応に苦慮する管理組合の問題を知ることができる。
- 第3章 老朽化マンションが抱える「スラム化」の恐怖
- 第4章 問題解決を阻む管理組合という存在
私が最も興味を惹かれたのは「第5章 タワーマンションの将来」。
このブログ記事「超高層マンションは格差社会の縮図」でも記したように、タワーマンションでは高層階と低層階の住民の経済格差があるので合意形成が難しいことは指摘済みだ。
本書では、合意形成の難しさに、「経済格差問題」のほかに「人種問題」を掲げているのだ。
特に、最高層分を数億円で購入した中国人が、管理組合の総会の議事進行は中国語で行うべき、という信じがたいエピソードには驚かされる。
ある都心のタワーマンションでの出来事です。私の知人のマンション会社の社員がマンション管理組合の第一回目の設立総会に出向き、役員の選任や今後の組合の活動予定などの説明を始めたときのことです。
最高層部を数億円で購入した区分所有者である中国人が、彼の説明を遮って発言しました。
「なぜ、この管理組合総会の議事進行は日本語で行われるのだ。私は中国人。このマンションの所有者の多くは中国人と聞いている。ならば総会における使用言語は中国語で行うべきだ」
会場中がこの発言に凍りついたそうです。たしかにこのタワーマンションは東京都心で立地は抜群。特に高層部の高額の住戸はほとんどが中国人の購入。中には数戸まとめて購入した人までいたと言います。
第6章以下の見出しは次のとおり。
- 第6章 マンションの資産価値を考える
- 第7章 解決のための処方箋
- 第8章 不動産価値の大変革を迎えて
最後は「所有権の呪縛から解放されよう」という、ごく常識的な結論で締めくくれらている。
(本日、マンション広告なし)